328. ふるさとなまり

 【2024年1月28日配信】




 おばばの言葉          



            白山市 番匠 俊行                              


 私の両親は石川県石川郡美川町(現白山

市)に生まれ育ちました。両親のそれぞれ

の両親も同町の生まれ、育ちです。除籍簿

を見ると、私の先祖は全員、明治初期から

同町の住人でした。

 私は高校時代まで美川で育ち、そのあと

関東の大学を卒業し、宮城県内で就職し、

現在、郷里の美川で塾教師をしています。

 私の祖母は1900年生まれで伝統産業

の美川刺繍をしていました。亡くなるまで

町から一歩も出たことがなく、町の人たち

との会話を楽しみに生きていたようです。

 その会話を耳にした一端をご紹介します。

 美川町は手取川の河口の町で日本海に面

しています。作家の島田清次郎、詩人の邑

井武雄、政治家の奥田敬和、歌手の浅川マ

キらの出身地でもあります。

 「美川弁」といってもいい言葉は、隣町

の能美郡根上町(現能美市)や能美郡川北

村(現能美郡川北町)、石川郡松任町(旧

松任市、現白山市)ともちょっと異なって

いると思います。

 私は金沢市内の高校に通ったのですが、

私の話す言葉がおかしいと、いつも友人に

笑われていました。言葉だけで伝えるのは

難しいのですが、動詞、形容詞、形容動詞

のエ音便がイ音便になったり、また、人名

や名詞の発音のアクセントや抑揚、強弱、

長短が独特みたいです。

 鹿児島弁が混じっているのではないかと

言う人もいます。もしそうであれば、最初

の石川県庁が美川町に置かれたことと関係

しているのかもしれません。内田政風とい

う薩摩藩士がトップとなりはるばるこの町

にやって来たと聞いています。ひょうきん

な美川の人たちが薩摩から来た役人たちの

言葉をおもしろがって真似して、流行らせ、

それがそのまま一部根づいたのではないか

と思ったりもしています。

 内田はなぜか金沢県とすることを拒否し、

県名を石川郡から拝借して石川県にし、さ

らに「美川県」にとまで県名をかえようと

したと聞きます。石川県はあわや美川県に

なっていた可能性もあったということです。

 これはこれでおもしろい話ですが、内田

は、美川町を中心にした金沢以上の新たな

県都を、白山を源として流れる県内最大の

河川・手取川(石川)をはさんで、創ろう

としたのかもしれません。

 私の聞いた祖母の言葉の動詞、形容詞、

名詞など品詞の分類、分析は読者の方々に

お任せして、以下自由気ままに記します。








「美川弁」


したっち            その通り、勿論、当然だ

いらっし     来てください

しゃびる     しゃべる

けなり      うらやましい

けなっりゃなん  うらやましいなあ

はばし     賢い

おもし     おかしい、変だ

きのどく    有り難い

きのどっきゃにん有り難いなあ

かなし     恥ずかしい

かなしこっちゃ 恥ずかしいなあ

おしょしね   申し訳ない、恥じ入る

しょおしね   申し訳ない、恥じ入る

なごなる    横になる

りくつな    珍しい、おもしろい

けえど     道、表通り、家の外

かど      上に同じ(語源は街道)

かどとおり   道行く人

あさしらぎ   コハコベ、薬草


ちょうえ    母親の実家に泊まること

ひろみ     広場

びるば     熊手

ほとこ     ふところ

ぐるじ     まわり

あわしゃ    

おい      居間、茶の間

おく      座敷、祖父母の寝る部屋

せど      裏庭

こんに     話し相手の家(その家で)

たちめぇ    新築棟上と饗宴

おいそ     向こう

おいそさっろ  あっちへ行って

しとつ     ひとつ

しんとく    漁師の弁当箱


あんごた    顎

ほおびた    頬

くちびら    唇

こびぃ     額

こびゃうつ   思案にくれる

ずこ      頭

ずこだし    でしゃばり

おちびた    尻

おいどび    お尻

どんど     胴着

ようがり    めだちたがり

こくげ     具合

かてっぽ    相手、片方

きびしょ    急須

おおと     玄関の戸

てぬぎ     手拭い

ほっけ     頬被り

かぶくろ    袋

ごんぶくろ   ごみ袋

ごんばこ    ごみ箱

ついぼ     杖

おんみゃそん  神社

おんみゃかし  寺社へのチップ


ここったし   ここら辺り

かてぇ     まじめだ、固い、きかん気だ

かてこ     賢い子、(賢子=紫式部の娘)

かてが     きかん坊、やんちゃぼうず

かてかんからかんまじめ一筋の人物

こすかん    嫌いだ、気に入らない

ごたむく    文句を言う

ごたむき    ごたむく人

こざかし    ずる賢い

しょま     下手くそ

おう      会う、合う、おんぶする

おうとる    合っている、おんぶしている


こそがす    くすぐる

こちょばす   くすぐる

おうどばす   おおげさだ

けえもんかご  買い物籠

こう      買う

こうちくて   買ってよ

こうちゃっぞ  買ってやるよ

なんか     お菓子

おてま     お使いのごほうび   

じぶき     雑巾

そこ      貴方

けたつ     脚立

がんがん    容器

からつ     陶器

きいはる    気を使う

しみず     湧き水

ほんにき    共同洗濯場(語源は掘り抜き)


おしこみ    押入れ

あっば     

でえこ     大根

こうこ     たくあん

そくせ     健康

そくせじおんまっし      元気でいてください

げっとび    競走で最後尾

げべた     競走で最下位

ひにくらし   大人びている

こうびる    大人びる

しゃあもみる  腹が立つ

せえもん    だだをこねる

せえもんめ   静かにしなさい   

こいる     太る

うつし     美しい

みんで     醜い

きな      黄色

きねぇ     黄色い


あんさ     

あんか     

あんま     

おじま     

おじ      

でけ      大きい

ちんちぇ    小さい

でけあんちゃ              長兄

でかんちゃ      長兄

ちんちぇあんちゃ   次兄

おとんぼ    末っ子

こっぱおじ   元気な末っ子

おめそん    貴方

おあんそん   立派な兄さん

つうつう    父親


あおだかす   おだてる

あおだかし   おだてること

あばらだし   やんちゃん坊

しゃあさって  明後日の翌日

てえそ     大層だ、体操

てえそくらっしゃほんとにたいへんだよ

おもすび    おにぎり

どくしょ    だめだ

きばる     いのる、力を入れる

がぁかる    意固地だ

おやき     金持ち、財産家

おやま     金沢


じゃあま    

たあたあ    姉

ばっちゃめろ  おてんば娘

よみさ     

よみどり    結婚式

よおしとり   一人娘、姉妹ばかりの長女

けっと     角巻に似た女性用の防寒具

 小柳ルミ子『雪あかりの町』


むこそん    お婿さん

たびのかた   町外から来た婿

そいえ     夫婦の相手方

でんにしる   大事にする

しみる     外が冷え込む

おもや     本家

しょてじ    分家


わり      お前

わて      わたし

うら      わたし

うらら     わたしたち

じゃちゃんね  だらしない  

いがいが    心が狭いさまを表わす

ほう      這う

ほうちありく  這って歩く、はいはい

おどかす    驚かす

あてぎ     いいかげん

おっしぇる   教える

こっぺ     たいへんだ

そこったし   そこらじゅう

にんがし    にぎやかだ

んまそな    大きな

んな      みんな、全部

んま      馬

んめ      旨い、梅

んもね     まずい

んめことゆい  口達者な者


くんま     

でえぐんま   祭りの山車

  各町でえぐんまの創建年代、人形名

にんに     あかちゃん

にんにもり   子守り

にんにば    寝巻き

あかにんに   永代町山車の太鼓打児童

  あかにんに、ふなでこ御旅所たかま入り(23分すぎ)

  よいやさっさうったりでえこ  ン  ドン

  もひとつうったり  ドン  ドン

     みやも  ドンドンドン

     さかゆる  ドンドンドン

   かみさん  ドンドンドン  ドンドンドン  ドン  ドン


ふなでこ    船大工組合の山車   

  伍子胥 右手に筆、左手に重鼎

  申包胥 伍子胥の親友

     おかえり二日目映像

     (ふなでこ伍子胥人形、5分すぎ)

  ロシア民謡『ヴォルガの舟曳き歌』

    『トロイカ』

    『郵便馬車の馭者だった頃』  

    イリヤ・レーピン『ヴォルガの舟曳き』


てえこ        太鼓           

よんめ     祭りの前夜 

よんび     昨夜

ほそごり    寝巻きや浴衣の帯紐

ひぼ      紐

おしみ     襁褓

おしめ     おしまい、最後

おしめそん   ごくろうさま

わくちゃんねぇ  どうしようもない

やくちゃんねぇ  上に同じ


おめそん    貴方

がりぶし    痩せた人

せきじん    気が短い、またその人

とがむく    ねたむ、逆恨みする

いくす     よこす、与える

つまし     質素

つまししょうぞ 倹約しなさい

よぼる     呼ぶ

あびる     泳ぐ

いきしなけえり 行き帰りの途中

しょっ     

しょっもんや  四十物店

ひきっしゃく  今川焼き、焼き饅頭

はやつきん   マッチ

あま      屋根裏部屋

ひんにま    昼寝

わやく     冗談

なんだ     涙

なくみ     泣き虫

ちゃわ     あわて者

ござぶし    ござ帽子


しゃっねぇ   しょうがない

みとんね    みっともない

あんね     危ない

かんしょ    便所

やきど     火傷

えいと【yeito】  お灸

あがっと    上がり口

いき【yiki】       

こせた     雪かきする木の板

ごぼる     雪に足が埋まる

あらに     

かざ      におい

かざかす    においをかぐ

にぐせ     くさい

きなぐせ    腐ったにおいがする

だちかん    だめだ

だちゃかん   だめだ

しなしなと   そうっと、静かに


いだり【yidari】   涎

いんここ    犬

へえぼんぼ   蝿

おとっぴ    豆腐

はびん     蒲鉾

けいま     貝

おとと     

はりんこ    トミヨ   はりんこのHP

くなら     ゲンゲ


おくもじ    唐菜

ながし     台所

ほうちゃ    包丁

まねた     まな板

ようね     よくない、有り難い

ようねが    下っ端

いいが     上役

いいもん    劇やドラマの主役

わんもん    劇やドラマの悪役

ようねにん   有り難う

ようのうなる  有り難く嬉しい

    

おとなし    おとなしい、まじめだ

おとろし    怖ろしい

おとろっしゃ  こわいなあ

かんそん    神様

ほとくそん   仏様、優しい謙虚な人

おぼくそん   毎朝仏壇に供えるご飯

ごぼそん    お坊さん

わけし     若者

とっしょり   老人

こわろ     童

わらびし    子どもっぽい

こんじょよし  気のよすぎる人

こんじょわる  いじわるな人

だらこんじょよし底知れないこんじょよし


にぶてぇ    眠い

にって     眠い

ありがとおなる 眠気がおそってくる

あったらもん  もったいない

よくび     けち、吝嗇漢、守銭奴

やじん     欲深い

やじんげ    欲深い心

はすわ     気前がいい、太っ腹だ

はちもん    おろか者、大物

ものぐり    異様な人物、はぐれ者

かたかわり   変人、大人物

めえき     前掛け、エプロン

いじくらし   しつこい

いじっかし   しつこい

こっせる    こしらえる、作る

もねぇ     だるい、何もしたくない

ぐわっこ【gwakko】学校

くわじ【kwaji】        火事

いっくわぁい【ikkwai】一回

いさき     けんか

からかみ    障子


いさで     雄々しい、りっぱだ

いさどい    雄々しい、りっぱだ

いさる     いばる

ちんと     動かずに、動じずに

ちんとしとろぞ 動いてはいけませんよ  

ちんとしとれま 動くなと言っているのに

ちゃんと    天地に恥じないように 

ちゃんとしょうぞしっかりしていなさいよ   

よもくらわりい 具合が悪い

だらざびり   冗談ばかり言うこと

かんだす    暴れる

ちぶ      中風

ちっとり    ちりとり

かがかが    目を輝かすこと

ひっちゃくる  むりやり奪う

おとい     動作がにぶい

ちゃあつく   かたがつく

つっけ     つきあい

だんばしご   階段

ぼお      追う

ぼっかきる   追いかける


ずくずく    びしょ濡れの状態

かちゃかちゃ  物がこわれた状態

ちゃがちゃが  整理整頓できないさま

けんけんぱ   石蹴り遊び

みなしょ    サイコロ遊びの一種

まわるが    回り将棋

ぱちん     めんこ

こぱちん    小さいめんこ

ちゅうぱん   やや大きいめんこ

おおぱん    最も大きいめんこ

ごちゅぱん   幅の厚いめんこ

ごつい     厚い

ちいちく    連れて行く

ちいちっち   連れてって


もせぇ     心配だ

もせが     心配になる人

もせもん    どうしようもない人、大物

からくさん   いいかげん、うさんくさい

あてぎ     真偽がはっきりしない   

もおく     流木

てきで     手伝い

てって     手伝い、手

めいる     参る

めんにく    お参りに行く

けぇ      かゆい

からぎる    ぶらさげる

いいとしからぎちいい歳して(幼い言動を)

のかりる    別れる

よったり    四人

めっち     仲間に入れてよ

まじち     仲間に入れてよ

いっぺん    一度

もっぺん    もう一度

もっつ     六つ


かさだか    大げさ

がちゃぶり   どしゃぶりの雨

かっきゃま   かきやま

あっくりしる  安心する

やぼこき    卑怯なことをする者

はげぇ     くやしい

はんげぇ    くやしいなあ

はごて     反抗

はごむく    反抗する    

あだきる    ふざける、騒ぐ

ちみる     指の先でつねる

べえた     棒

いしな     

いしなひろい  波打ち際での玉石拾い

ひんめ     お昼前

よおさり    夕方から夜中

たっちゃ    夕方

どまどま    忙しいときのさま

たっちゃのどまどま晩飯前のひととき

すずんで    涼み台


やすしばい   大衆劇

うたうたい   歌手

あたまんたか  枕元

あしみる    期待する

はつみ     頭がいい人

いちげ     まじめすぎる、またその人

うそこき    嘘つき

あみぃ     

あみゃふっちきた雨が降ってきた

かじぃ     風、風邪

かじゃじちきた 風が出てきた

かじじたおりた 風邪で倒れた

きずい     無愛想だ、とっつきにくい

ちぶて     冷たい、冷酷だ

ちって     冷たい

ぜえご     田舎者

すまくら    片隅

あかまま    赤飯、降参するときの台詞

ずみぃ     じみな人物

しんばり    あかぎれ、しもやけ

かたに     とびひ、湿疹

がっぱ     頭にできる湿疹、一生懸命

がっぱんなる  真剣になる、夢中になる

うたっちゃ   困ったなあ     

きにょ     きのう

きんの     きのう


でくさ     大工

せえべん    煎餅

いんぞ     側溝

どぼそ     側溝、どぶ

うざくらし   いやらしい

うざっかし   気持ちがわるくなる

すばる     減る

にまる     座る

にまんまっし  座ってください(お客に)

ぽんぽんにまり 正座

あぐち     あぐら

おじじ     祖父

よこざ     おじじの座る囲炉裏指定席

あした     高下駄

あしたへいちありく     高下駄を履いて歩く


みとにしる   ばかにする

みとんね    みっともない

いのく     動く

ちゃび     噂話が好きな人

ちゃびこき   噂話を広める人


わろわす    笑わせる

くたびる    くたびれる、疲れる

せせる     さわる、触れる

いろう     さわる

いろめ     さわるな

せせりこわし  さわっているうちに壊すこと

みとんぼ    灯台もと暗しのさま、その人

いれぇ     しんどい、疲れる

でぇ      からだがだるい、大

じんじ     お金

じんもき    金もうけ

いとし     かわいそう

ぐちにん    愚図な人   


うんしゅ    みかん

にいじん    にんじん

ごんぼ     ごぼう

にっか     ねぎ

ぼぶら     かぼちゃ

ぼっばぁ    かぼちゃ

ばたばた    バイク

たくもん    焚き木

あしっかし   忙しい

しりつ     手術

ふんじょ    不自由

やくそく    天命、運命

はくしゃ    くしゃみ

せべぇ     狭い

みいでら    がんもどき

よて      得意技

つりぃ     友人

やうち     気のおけない友人

まつい     気のおけない仲間


せんじょばり  独り占めして喜んでいる者

やがて     すぐに

たんと     たくさん

ちょっこし   少し

ちょっこ    ちょっと

こねだ     この間

やくっしゃ   薬局(語源は薬種屋)

よっれ     寄り合い

あい【ayi】                 

えぇ      あいの風

すびり     すべり、いさざ、春告魚

ごんしゅう   「御酒」(美川町の民謡)

おいうぇ【oiwe】    お祝い

ごっつぉ    ごちそう

よばり     酒食の招待

いっぺのみ   大酒飲み

いたんま    板の間

じょん     おかしなこと

じょんな    おかしい

ととのわん   まったくおかしい

あもりゃねぇ  しっくりしない

へぐる     くどくど言う

かやす     こぼす

しぐ      死ぬ

ごにる     死ぬ

じゃまねぇ   大丈夫だ、問題ない

がんこな    すごい、すばらしい

さんにょ    計算

さんにょしらず 計画性のない人物、大立者

しゃばしらず  教員、医者、僧侶、政治家


あおのきてんば 大の字になり寝ているさま

ひとかたき   食事一式・一人前

いっちん    ご飯一杯

いっちんてっ  おかわりください

おつき     お汁

だごじり    鰯のだんご汁

しょんねぇ   味が足りない

くどい     味が濃い

じきゃねぇ   落ち着かない

じきもくららもねぇ   落ち着く暇がない

よもくらわりい 悪意がある、具合が悪い

えごふく    腹を立てる

どぐさる    退く、だまる、寝る

ふとぎ     ふとん

ざぶとぎ    ざぶとん

おく      やめる

まくりおく   すぱっとやめる

いっしょざけ  仮祝言

かくもち    かきもち

ほりぃ     それ

ほしたら    そしたら

ほうや     そうだよ

ほうやとこいに そうだって

ひっきる    消える

きっきす    消す


いっけ     親戚

いっけまつい  親戚一同

またじ     後片付け

おしなかす   失くす

おしなかる   失くなる

さぶし     寂しい

さびぃ     寒い

あっつい    暑い

あちぃ     熱い

あちちゅ    熱かったときの悲鳴

あちち     一途になること、またその人

ぬくい     暖かい

しょこにいりる 集中する

いっちょもん  一芸に秀でた人、ひとすじ

くいきいっちょもん   大食漢

らくまつ    楽天家、仏様のような人

いちゃきね   かわいい

かえがる    かわいがる

うるし     嬉しい

うるしもせぇ  嬉しいけれども何か不安だ

こてりん    こたえきれない

うるしちこてりん嬉しくてたまらない


あんやとぉ   有り難う

ごにごそんな  有り難うございます

めぇどそん   こんにちは   

なんまんだ   南無阿弥陀仏

だんねぇ    いいよ、かまわない

なもねぇ    なんでもない

なんやち    なんだと

どいや     どうしてだ

でえげ     なんだって

さっでえげ   それはいったいどうしてなの

でええん    「どいや」「でえげ」を強調

わっさぁでええんお前いったいどうしたんだよ

けえちって   書いてよ

うとちって   歌ってよ

くとんし    ください

けえちくとんし 書いてください

うとちくとんし 歌ってください


ええそらし   愛想がいい

ええそんね   ものたりない

おかえり    天下の稀祭「おかえり祭り」

ええじゃええじゃ 祭りの山車を引くときの掛け声

とどおこおのせえ 山車を引く直前の合図の掛け声

あとりもおどせえ    山車を後ろに押すときの掛け声

やんさんやのおお    山車を持ち上げるときの掛け声

 おみこし本宮出発   おかえり一日目映像  

 小柳ルミ子『お祭りの夜』

    藤島桓夫『お月さん今晩わ』 


おおっりゃ   望外な喜びが訪れたきの叫び声

おりょりょ   懐かしい人と逢った感動の言葉

ああはや    「ああ」を強調した落胆の言葉

およろっしょ  「よろしく」という挨拶の言葉

だらき     ばか者、情け深い人、立派な人

はんだら    すばらしい人

だらっきゃ   ばかだなあ、情篤くすばらしい

おんぼらあと  ゆっくりと、ゆったりと

はんなあり   心ゆくまで

ことこと    温かいさま


今回はこのあたりにして、

次回は会話例を記します。









〈参考〉


高崎政一さん









浅川マキ



島田清次郎
(1919年6月8日新潮社発行、20歳、売上50万部)




以上
北出晃さん(美川町出身)

写真の右横を左クリックすると拡大できます。


  この絵をなんと見たらよいのだろうか
  日本海が大きな湖のように思えてくる
  大陸、半島と交易が盛んだったのでは  
     日本の重心富山県沖(富山県作成)



「困っている人々のためにこそ、
 政治が光を当てねばならない」
「強い力を削いで弱い方へ回す、
 ハンディキャップを埋めるのが
 政治だ」







当講座記事NO.136
秋山郁美さん(美川町在住)


当講座記事NO.273





〈後記〉
 美川の本当の祭りは二日目夜、露天商が
 帰り、山車が小屋に収まってから始まる。
 各町内が山車を持ち、町内総出で楽しむ。
 祭りに訪れた人たちは「夢のような世界」
「この世のものとは思えない」などと言う。
 当講座NO.224で紹介した八尾の風の盆は
 各町内ごとに踊る。場所は離れているが、
 このおかえり祭りとどことなく似ている。

   童心に還るおとなと子らの船
   
  大輪のきしみの音が胸を打つ

  提灯の揺れと灯りに母をみる

           東京都 矢部 朋子

 
 








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300. 来たる時代への提言・記事全項目紹介

 【2023年5月3日配信】小社発信記事            日本の重心富山県沖、大陸から見た日本         みんな仲良く      (富山県作成)  題字 井上碧山さん (北九州市)         絵  本多千鶴子さん(金沢錦丘高校1年)       発行 金沢出版社  当講座記事の開き方と記事全項目  「現代の声」講座へアクセスをいただき 有り難うございます。 NO. 291の記事でも 紹介しましたが、改めて以下のとおり再度 記します。  この講座の趣旨は、「講座の開設にあた って」を見ていただければ幸いです。  当講座を自由に使っていただければ嬉し く思います。  記事を見つけやすくするために記事項目 を上に記しました。  各記事項目を左クリックすると各記事の タイトルが出てきます。その記事タイトル または「続きを読む」を左クリックすると 記事が出てきます。  画面右側目次と併せて何か参考になれば 幸いです。   また、当講座へのご寄稿や当講座記事の 内容等についてのご批判、ご意見、ご感想 など次のメール宛にていつでもいただけれ ばなお有り難いです。   (当講座編集人)    gendainokoe@gmail.com      当講座の画面にある「前の投稿」を左ク リックすると各記事の冒頭部分が順次出て きます。  「ホーム」を左クリックすると一番最初 の画面に戻ります。  「新しい投稿」を左クリックすると一つ 前の画面に戻ります。  また、画面右側の目次の各記事タイトル を左クリックすると、その記事がすぐに出 てきます。目次の NO.215 以降の記事は、 各月別にまとめてあります。「過去の記事」 を適宜左クリックするとタイトルが出てき ます。  「人気の記事」は、最近一ヶ月間にアク セスが多かった記事10本を上から人気順に 紹介してあります。  各記事中の写真は、写真の中または右横 を左クリックすると拡大できます。  「現代の声」講座全記事の紹介 記事項目 NO. 223、「職」に関する記事 314、「哲学」に関する記事 227、「コロナ」に関する記事 228、「スポーツ」に関する記事 229、「自然」に関する記事 230、「教育」に関する記事 231、「歌」「音」「踊り」「情」に関する記事 232、「歴史」「非戦」に関する記事 233、「人

224. 天と地をつなぐ「おわらの風」

【2022年1月22日配信】   大寒           七尾市 石島 瑞枝             雪解けの春風を待つ坂の町               秋風 (2023.9.3)            横浜市 髙祖 路子    夜流しの音色に染まる坂の街                         鏡町地方衆、先人のご苦労をしのびその息吹に応える夜流し .  今町のおわら .      2023.9.3 最終日、西町青年団最終おわらの舞い .                               撮影 木偶乃坊写楽斎さん         〈参考〉                               越中八尾おわら風の盆               「深夜の夜ながし」      日本と日本人が失くしてしまった、  奪 われてしまった温かい心情、 郷愁  --それらを求めて各地から 数多の  見物者 が、 魅入られたかのように、  取りもどす か の ように八尾へ と 足を  運 ぶ の だろうか。  高橋治と石川さゆりの『風の盆恋歌』  の影響が大きいとも八尾ではいわれ  て いる。言葉と 歌の 力のすごさか。  事実、この 歌 の前と後とでは、風の  盆訪問 者 数に圧倒的な差がある。  紅白で、「命を賭けてくつ がえす」  と、着物の 袖 を 強く 握りしめ 揺さぶ  り ながらうた った 「くつがえす」の  一語の中に、日本の 歌手 として歩ん  できた 石川さゆりの、 自 らの心の奥  底にある深い 懐 いをも 包んだ 全 情念  が 込め ら れて い る。  旅人の多くが八尾に滞在してい る中、  わずかのさすがの通だけが、おわら  本来 の良 さ が漂っている深夜の夜流  し の、 後ろ姿を見ている。個性 ある  いで たちもすばらしい。  おわらは見せるものなのか、見られ  るこ とを意識すらせずに心ゆく まで  自ら楽しむものなのか。あるいはま  た、…… …… 高橋治と 石川さゆりは、  諸々のことを考える、見直すための  たいへ ん な「契機」 を 与 えて くれ た  ので ある 。    個人的な所感を述べれば、おわらは  縄文と江戸の文化が八尾で花開いた  ような気がする。  (当講座編集人)    鏡町の踊りに魅入

307. 職人の心意気 -「技」の文化 -

 【2023年7月3日配信】   手作りへのいざない    -「技」の文化-     縫い針のひとはりに込める夢  敦賀市 宮岸 かなえ                     てのひらに落ちる雨滴が灯をともす     鹿児島市 井上 治朗                        器(うつわ)  器への思い    九谷焼絵付師  宮保 英明         用という約束の形を提供しながら、その 形の中でどれだけ新鮮な自身の感覚を保ち 得るか、どんな可能性を引き出し得るか、 自身を試す姿勢で器と向かい合いたい。  自意識による変身、習慣のタガをはずし、 本来まったく自由に扱える創作表現への自 意識を、材質としての焼きものにぶつけた い。  盛られる料理に好かれる器。使いよくて 楽しくて、ついつい使ってしまう器。見た 目に静かで、しかし強い存在感を持ち、素 直に語りかけてくる。そんなものを心がけ てつくりたい。 みやぼ ひであき 20歳から絵付けをはじめる。 1950年石川県白山市生まれ。 石川県加賀市日谷(ひのや)在住。 日谷川をはさんで両側に民家と山が並ぶ。 谷間の村・日谷の向こうには人はいない。 宮保家の裏もすでに森である。 仕事をするのにいい場所をさがし歩き、 1984年の夏、白山市から引っ越してきた。 「ときどき熊が顔を出す」と妻の文枝さん。 小社発行・『北陸の燈』第4号より 撮影・八幡スタジオ 当講座記事NO.21、249再掲 当講座記事NO.223、「職」に関する記事から     芭蕉布ムーディー綾番匠くずし 平良 敏子   鋏 川澄 巌  文駒縫(あやこまぬい) 竹内 功   匠  足立区が誇る「現代の名工」    当講座記事NO.269、「世界屈指の技と清ら」から   流し猫壺 河井 寛次郎      「祖父寛次郎を語る」鷺 珠江さん     当講座記事NO.280、「湯の人(4)」から   樹 -卒業制作- 青木 春美     当講座記事NO.22、「織を通して学んだこと」から     絹本著色方便法身尊影  1500年製作      当講座記事NO.72、「松帆榭にて」から   千年の土 珠洲焼 篠原 敬    当講座記事NO.296、「あの日のこと」から     バンチェン土器   タイ・バンチェン遺跡     当講座記事NO.288、「個

272. 学級通信「あいこでしょ」の願い

【2022年10月4日配信】 「命」の新文化創造の世へ            小松市立稚松小学校              教諭 辰巳 国雄        題字 井上碧山さん (北九州市)  絵  本多千鶴子さん(金沢錦丘高校1年) 当講座記事NO.314 山下秀美、哲学の時代へ 同266 酒井由記子、混迷する現代と統一協会 同294 小原基子、おんな川にかかる橋 同303 今野ゆうひ、教え子を再び何処へ送るのか 同318 髙森文子、世界に範たる日本国になるには  学級文集とか、学級通信とか、学級機関 紙 といわれるもの を発行することを、教師 の仕 事の軸の一つに して実践を積み重ねて いる人 がずい分多いと 思う。  私は、学級通信(学級文集・学級機関紙 も 含めて)を発行してから、もう三十年近 くに なる。あるときは季刊であったり、月 間であ ったり、週刊であったり、日刊であ ったり、 その形はさまざまである。その一 年、一年で 形も異なり、内容も変わってき ている。大ざ っぱな言い方をすれば次のよ うになるだろう。  子どもたちの生活のなかみや、思いや考 え を、本音のところで知りたい。それは、 話す ということででもできるかも知れない が、数 十人の学級の子どもたち全員の本音 を知るこ とはむずかしい。話すことの不得 手な子でも 書くことによって本音を語って くれるだろう。 また書くことによって、さ らに、自分の生活 や、思いや考えを、見つ め直すことになり、 印刷されたものを通し て、学級のみんなの共 通の認識を得られる だろう。共通の認識を持 った学級集団(子 どもたち)は、それをステ ップに、学級集 団の文化を創り上げていく力 にするだろう。  これが、私の教育の大きな柱だった。こ う して始めた学級通信発行の仕事は、子ど もた ちの全面発達を願う私の教育実践のそ のとき そのときの証しともなるものになっ た。学級 通信が発行できなくなるというこ とは、私と 子どもたちとの歩みが止まるこ とである。た だ子どもたちの作文や詩を書 いていくだけで はなく、教師としての自分 と子どもたちとの かかわりや、私の思想を も反映させた学級の 歩みを学級通信の中に 定着させていくことだ った。それは、一時 間一時間の授業を最高に 充実させるという きびしい仕事に

311. レジェンド記者、真実を追う

 【2023年8月2日配信】小社発信記事      木原事件、ジャニーズ事件、 松本VIP事件、 自民裏金脱税事件、政治、ジャーナリズム                      佐藤章 さんの発言とともに考える            尾崎豊『ダンスホール』1984.3.15  東京新宿RUIDO 浅 川マキ/ ライブ夜 1977.11.19 京大西部講堂 桃山晴衣『遊びをせんとや生まれけん』 最新順 ジャニーズ・松本VIP事件、震災その他記事 当講座記事NO.320 2024.3.6 谷本誠一さん、中川秀直衆議秘書時代を語る 広島県前呉市議(6期)の谷本さんが 高校生の インタ ビューに応えてパー券販売、地盤培養活動などを話す。 撮影 2023.8.3 2021.5.21 佐藤章さんスクープ解説動画 第二次安倍内閣安倍晋三首相退陣の真相 木原事件を考える 2023.8.2 志あるジャーナリストへの呼びかけ .  2023.8.20 黒澤明『天国と地獄』仲代達矢の圧巻の台詞 .                       「被害者・遺族の無念を晴らす。これが刑事の仕事」     佐藤誠元刑事記者会見 2023.7.28 コロンボ、安浦吉之助、 十津川省三、杉下右京をしのぐ 佐藤誠さん の 言葉。「 日本の心」はまだまだ生きている。 同時に加害者側の動機、心情も併せて理解すべきである。 日本の歴史、社会、政治を変える日本史上最高記者会見                    2023.8.8 真犯人 Z氏と木原氏の人生を考える 2023.8.17 事件当日の Z 氏の行動を考察する 2024.8.24 民主主義の岐路.検察再捜査の動き    2029.8.30 事件のもみ消しを決して許してはならない    2023.8.31 事件を報道しない既存のメディアへの怒り                                                     文春報道によれば、2006 年 4月 9日の 午後10時ごろに東京都内で安田種雄さんと いう方が殺されたが自殺とされた。そして 2018年春に捜査が再開されたが、本格的な 捜査に入ろうとした矢先の同年10月下旬に 捜査が突然打ち切られた。  この事件の捜査に当たった警視庁元刑事 の佐藤誠さんが、先月28日

275. スポーツを文化にするために

【2022年10月10日配信】     交驩のエール     花開きつつあるエンジョイベースボール    「学生野球考」          慶應義塾大学野球部監督                   前田 祐吉      「サード!もう一丁!」「ヨーシこい」 と いう元気な掛け声の間に、「カーン」と いう 快いバットの音がひびくグラウンドが 私の職 場である。だれもが真剣に野球に取 り組み、 どの顔もスポーツの喜びに輝いて いる。息子 ほどの年齢の青年たちに囲まれ、 好きな野球 に打ち込むことのできる私は、 つくづく、し あわせ者だと思う。  学生野球は教育の一環であるとか、野球 は人間形成の手段であるということがいわ れるが、私の場合、ほとんどそんな意識は ないし、まして自分が教育者だとも思わな い。どうしたらすべての野球部員がもっと 野球を楽しめるようになるのか、どうした らもっと強いチームになって、試合に勝ち、 選手と喜びを共にできるのか、ということ ばかり考えている。  野球に限らず、およそすべてのスポーツ は、好きな者同志が集まって、思いきり身 体を動かして楽しむためのもので、それに よって何の利益も求めないという、極めて 人間的な、文化の一形態である。百メート ルをどんなに早く走ろうと、ボールをどれ だけ遠くへカッ飛ばそうと、人間の実生活 には何の役にも立たない。しかし、短距離 走者はたった百分の一秒のタイムを縮める ために骨身をけずり、野球選手は十回の打 席にたった三本のヒットを打つために若い エネルギーを燃やす。その理由は、走るこ とが楽しく、打つことが面白いからにすぎ ない。さらにいえば、より早く走るための 努力の積み重ねが何物にも替えがたい喜び であり、より良く打つための苦心と練習そ のものに、生きがいが感じられるからであ る。  このように、スポーツは余暇を楽しみ、 生活を充実させるための手段で、それ以外 には何の目的もないはずである。むしろ目 的のないことがスポーツの特徴であり、試 合に勝つことや良い記録を出すことは、単 なる目標であって終局の目的ではない。  かつて超人的な猛練習でスピードスケー ト の王者といわれ、冬季オリンピックの金 メダルを独占したエリック・ハイデンは「 金メダルは私の人生の目的ではない。それ に至るプロセスの喜びが私

327. 能登はやさしや土までも

 【2024年1月8日配信】          お金から「いのち」の時代へ(10)             たくましくやさしき能登に光させ                    2024年3月11日              気仙沼市 菅野 千鶴子                              二隻だけでは足りない話にならない      被災者全員を救う方法を考えるべき    「五百年のひびき」   「日々是稽古」 .        輪島名舟の人たちへのインタビュー .    当講座記事NO.318 世界に範たる日本国になるには 強震モニタ .    地震情報 .                           緊急に避難所の設備充実を          大地震から一週間たった今、改めて 以下の記事を再掲します。   日本海側の原発の現況が気になります。  当講座記事 NO.296と 297で珠洲原発  のことに言及しました が、珠洲原発が  建設されていたらこの地震で日本列島  と朝鮮半島には人が住めなくなってい  たのではないでしょうか。珠洲原発を  絶対に安全だと主張して推進していた  関 西 電力、中部電力、北陸電力、経産  省、政府は 謝罪声明を出すべきだと思  います。    震災被災者の避難先に下記写真のように  ビニールハウスが何箇所かありました。  ここは個人や隣近所で自主的に避難した  場所だと思います。ビニールハウスは、  地震に強いのではないでしょうか。    また、私は高校時代、山岳部で部活動を    していたのでその経験からすれば、冬用    テント、ツエルト、シュラフ、ヤッケ、  ポンチョ、コッフェル、ラジウスなどの  山岳装備を キ スリングに入れておき、 か  つ、テントの張り方、炊事の仕方を日頃  から練習し、いつでも野営に備えていた  らいいのではないかと思いました。  もっともこれらに相当する準備は、国、  県、市町 村の首長や各議員が、常日頃か  ら個人の人権とプライバシーに心配りを  したうえで、率先してしなければならな  い極めて重要な政治の仕事であると思い  ます。特に今現在おこっている震災は、  何年も前から充分に予測できたことだけ  に、最低でも上記の準備だけはできたは  ずです。「残念」とか「遺憾

266. 混迷する現代と統一協会 

【2022年8月28日配信】        親友ヨッチにささげる手記          -最期まで友情を信じて-                  石川県河北郡津幡町                 書店員 22歳  酒井 由記子  人は、どんな人と巡り合うか、どんな本 と出会うかによって人生が決まってくると、 ある作家が述べていたのをふと思い出す。 私にとってはまさにそうであった。出会っ た人達も書物もとても大きな影響を残し、 忘れられない出来事となっていったのであ る。   一、高校生の頃  今から六年前(1977年)、私は金沢 二水高校の二年生であった。いや二年生と いうより吹奏楽部生というほうが適切であ るほど私は部活動に情熱を注ぎ込んでいた。 みんなでマラソン、腹筋運動をしてからだ を鍛えあげ、各パートごとでロングトーン をして基礎固めをなして、全員そろって校 舎中いっぱいに響きわたるハーモニーを歌 いあげる。それは、先輩、後輩、仲間達の 一致によって一つの音楽をつくり出すとい う喜びを存分に味わった私の青春時代の真 っ盛りであった。ただ残念なことは、部活 動に熱中すればするほど勉強のほうはさっ ぱり力がはいらなかったことである。中学 生のときは、「進学校にはいるために」と いうただそれだけの目的で受験勉強ができ た。しかし、いざ高校にはいってみると、 また「いい大学にはいるために」と先生方 が口をすっぱくして押しまくる文句に素直 になれなかった。勉強する本当の意味が見 出せなかったのである。その頃から、私は 人間は何のために生きるのだろうかという ことまで突っ込んで考えるようになってい った。  父母が書店を経営しているため本は充分 にあり、書物を読むことによって答えを見 出そうとした。私の強い求めに応じるかの ように一冊の本が転がり込んできた。クリ スチャン作家である三浦綾子さんの『あさ っての風』という随筆集であった。聖書の 言葉がそこに登場しており、それはズシリ と心に響いたのである。その本に魅せられ て三浦さんの自叙伝も何冊か読み進めてい った。しだいに私の魂は、人間をはるかに 越えた大いなる存在があることを感じてい った。確信までは至らなかったけれども、 それらの本によって金沢のプロテスタント の教会に足を運び、牧師さんのお話を聞く ようにもな

280. 湯の人(4)現実と夢

 【2022年11月22日配信】   大きな便り                       加藤 蒼汰          秋とはいっても冬のような寒い夜だった。 浴室にはだれもおらず、脱衣場には番台に 座っている銭湯の主人と私ともうひとり。  その人は銭湯の近所の人であり、かつて 高校の教員をしていた。在職当時、馳浩・ 現石川県知事を教えていたと語っている。 八十歳を超えている。  この銭湯でよく顔を合わせ、会うたびに 知事の高校在学中のエピソードを繰り返す ので、私はその話の内容をすっかり諳んじ られるようになってしまった。高校入学時 から卒業までの様子、レスリング部での活 躍などであるが、私が特に感銘を受けた話 は、知事は高校時代、冬、雪が降り積もっ た朝には真っ先に早出登校して、生徒・教 職員を思いやり、校門から校舎玄関入り口 までの路をひとりスコップで雪かきをして いたというくだりである。  そんなすばらしい教え子をもつ元先生が、 服を脱ぎ裸になって浴室入り口に向かって 五、六歩あるきながら大便を三個落とした のである。気づかずに落ちたようなので、 私は「先生、落としもの」と声をかけると、 「ありりー、まったく気いつかんかった。 あはははは」と笑うのである。  私は、脇にあったチリトリでこの塊をす くいとり、「みごとな色と固さやね」と言 いながらトイレに流した。しかしながら、 脱衣場にはその匂いが全面に沁みわたり、 息が苦しくなるほどだった。このとき私は、 幼いころサーカスを見たときのことを思い だした。  それは曲芸をしていた象が巨大な大便の 塊を三個落とし、団員があわててスコップ で拾いあげていた光景であった。このとき の衝撃の記憶がよみがえり、私にとっさに チリトリを思いつかせたような気がする。 本を読んでいた番台の主人もその匂いで事 のいきさつに気づき、「匂いもすばらしい ね」と笑いながら脱衣場の窓を全開し床を 雑巾でふいてくれたが、その強力な匂いは 容易に消えなかった。  その間、先生は先に浴槽へ入り、気持ち よさそうに浸かっていた。私は先生と湯壺 にいっしょに漬かることに一瞬躊躇したが、 免疫機能が高まるまたとないチャンスでは ないかとの思いも何ゆえか突然こみあげて きて湯船に同席、お伴したしだいである。  「よくあることなんけ」と湯中、思わず
         柿岡 時正
         廣田 克昭
         酒井 與郎
         黒沢  靖
         神尾 和子
         前田 祐吉
         廣田 克昭
         伊藤 正孝
         柿岡 時正
         広瀬 心二郎
         七尾 政治
         辰巳 国雄
         大山 文人
         島田 清次郎
         鶴   彬
         西山 誠一
         荒木田 岳
         加納 韻泉
         沢田 喜誠
         島谷 吾六
         宮保 英明
         青木 晴美
         山本 智美
         匂  咲子
         浅井 恒子
         浜田 弥生
         遠田 千鶴子
         米谷 艶子
         大矢場 雅楽子
         舘田 信子
         酒井 由記子
         酒井 由記子
         竹内 緋紗子
         幸村  明
         梅  時雄
         家永 三郎
         下村 利明
         廣田 克昭
         早津 美寿々
         木村 美津子
         酒匂 浩三
         永原 百合子
         竹津 清樹
         階戸 陽太
         山本 孝志
         谷口 留美
         早津 美寿々
         坂井 耕吉
         伊佐田 哲朗
         舘田 志保
         中田 美保
         北崎 誠一
         森  鈴井
         正見  巖
         正見  巖
         貝野  亨
         竹内 緋紗子
         滋野 真祐美
         佐伯 正博
         広瀬 心二郎
         西野 雅治
         竹内 緋紗子
         早津 美寿々
         御堂河内 四市
         酒井 與郎
         石崎 光春
         小林 ときお
         小川 文人
         広瀬 心二郎
         波佐場 義隆
         石黒 優香里
         沖崎 信繁
         山浦  元
         船橋 夕有子
         米谷 艶子
       ジョアキン・モンテイロ
         遠藤  一
         谷野 あづさ
         梅田 喜代美
         小林 ときお
         中島 孝男
         中村 秀人
         竹内 緋紗子
         笠尾  実
         前田 佐智子
         桐生 和郎
         伊勢谷 業
         伊勢谷 功
         中川 清基
         北出  晃
         北出  晃
         広瀬 心二郎
         石黒 優香里
         濱田 愛莉
         伊勢谷 功
         伊勢谷 功
         加納 実紀代
         細山田 三精
         杉浦 麻有子
         半田 ひとみ
         早津 美寿々
         広瀬 心二郎
         石黒 優香里
         若林 忠司
         若林 忠司
         橋本 美濃里
         田代 真理子
         花水 真希
         村田 啓子
         滋野 弘美
         若林 忠司
         吉本 行光
         早津 美寿々
         竹内 緋紗子
         市来 信夫
         西田 瑤子
         西田 瑤子
         高木 智子
         金森 燁子
         坂本 淑絵
         小見山 薫子
         広瀬 心二郎
         横井 瑠璃子
         野川 信治朗
         黒谷 幸子
         福永 和恵
         小社発信記事
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         秋山 郁美
         加藤 蒼汰
         森本 比奈子
         森本 比奈子
         吉村 三七治
         石崎 光春
         前田 佐智子
         前田 佐智子
         前田 佐智子
         前田 佐智子
         中野 喜佐雄
         八木  正
         堀  勇蔵
         家永 三郎
         広瀬 心二郎
         菅野 千鶴子
         海野 啓子
         菅野 千鶴子
         海野 啓子
         石井 洋三
         小島 孝一
         キャリー・マディ
         谷本 誠一
         宇部  功
         竹内 緋紗子
         谷本 誠一
         酒井 伸雄
163、コロナ禍の医療現場リポート
         竹口 昌志
164、この世とコロナと生き方を問う
         小社発信記事
165、コロナの風向きを変える取材
         橋本 美濃里
166、英断の新聞意見広告
         小社発信記事
167、ワクチン接種をしてしまった方へ
         小社発信記事
168、真実と反骨の質問
         小社発信記事
169、世論を逆転する記者会見
         小社発信記事
170、世界に響けこの音この歌この踊り
         小社発信記事
171、命の責任はだれにあるのか
         小社発信記事
172、歌人・芦田高子を偲ぶ(1)
         若林 忠司
173、歌人・芦田高子を偲ぶ(2)
         若林 忠司
174、歌人・芦田高子を偲ぶ(3)
         若林 忠司
175、ノーマスク学校生活宣言
         こいわし広島
176、白山に秘められた日本建国の真実
         新井 信介
177、G線上のアリア
         石黒 優香里
178、世界最高の笑顔
         小社発信記事
179、不戦の誓い(2)
         酒井 與郎
180、不戦の誓い(3)
         酒井 與郎
181、不戦の誓い(4)
         酒井 與郎
182、まだ軍服を着せますか?
         小社発信記事
183、現代時事川柳(六)
         早津 美寿々
184、翡翠の里・高志の海原
         永井 則子
185、命のおくりもの
         竹津 美綺 
186、魔法の喫茶店
         小川 文人 
187、市民メディアの役割を考える
         馬場 禎子 
188、当季雑詠
         表 古主衣 
189、「緑」に因んで
         吉村 三七治 
190、「鶴彬」特別授業感想文
         小社発信記事
191、「社会の木鐸」を失った記事
         小社発信記事
192、朝露(아침이슬)
         坂本 淑絵
193、変わりつつある世論
         小社発信記事
194、ミニコミ紙「ローカル列車」
         赤井 武治
195、コロナの本当の本質を問う①
         矢田 嘉伸
196、秋
         鈴木 きく
197、コロナの本当の本質を問う②
         矢田 嘉伸
198、人間ロボットからの解放
         清水 世織
199、コロナの本当の本質を問う③
         矢田 嘉伸
200、蟹
         加納 韻泉
201、雨降る永東橋
         坂本 淑絵
202、総選挙をふりかえって
         岩井 奏太
203、ファイザーの論理
         小社発信記事
204、コロナの本当の本質を問う④
         矢田 嘉伸
205、湯の人(その2)
         加藤 蒼汰
206、コロナの本当の本質を問う⑤
         矢田 嘉伸
207、哲学の時代へ(第1回)
         小社発信記事
208、哲学の時代へ(第2回)
         小川 文人
209、コロナの本当の本質を問う⑥
         矢田 嘉伸
210、読者・投稿者の方々へお願い
         小社発信記事
211、哲学の時代へ(第3回)
         小社発信記事
212、哲学の時代へ(第4回)
         小社発信記事
213、小説『金澤夜景』(2)
         広瀬 心二郎
214、小説『金澤夜景』(3)
         広瀬 心二郎