ヒロシマの回想
【2020年8月6日配信 NO.11】 石川県加賀市 建設業 七尾 政治 昭和二十年八月六日、日曜日、その日も朝 から焼けつくような真夏の太陽が輝いていた。 陸軍の現役兵として私は広島の兵営で、前夜 の空襲警報も解除され、緊張から解放されて 衛兵交替の申し送りをしていた。 八時十五分、突然、日光をあざむく閃光が、 一瞬、皮膚を焼く灼熱とともに炸裂して目を 眩ませた。と同時に耳を聾する百雷同落の如 き大轟音と、人をも吹き飛ばす大爆風が、間 髪を入れず広島全市を震撼させたのである。 無我夢中、先を競って営庭の一隅の防空壕に 飛び込む時、この目に映っ…