非戦、自由の実現へ(2)

【2021年1月7日配信 NO.98】


  当たり前!?      



                      富山市 牧師 (熊本県出身)   

             細山田 三精       

                


 不思議な夢

 今を去る二千六百年昔、現在のイラクの地

に栄えた新バビロニア帝国の王ネブカデネザ

ルは、ある夜、不思議な夢を見ました。しか

し朝になってみると、それを全然思い出すこ

とができず、それでいて、気になって仕方あ

りませんでした。そこで王は、高給で召しか

かえている魔術師や博士たち、占い師たちを

呼び集め、自分の見た夢とその解き明かしと

を示せと厳命したのです。


 彼らはびっくりしました。

「王様、そんなご無理なことを !!  どうぞ、

ご覧になった夢をまず、お話ください。そう

したら、その解き明かしを申しあげましょう」


「だまれ!!」

王は一喝しました。

「まず、わたしの見た夢を話せ !! そうすれ

ば、お前たちの解き明かしも確かだというこ

とがわかる。それができなければ、お前たち

は今まで、どんなことも解き明かしができる

と、言葉巧みにわたしをだまし、高給をせし

めていたわけだ。それゆえ、お前たちの手足

を切り離し、家族ともども滅ぼす!! しかし、

もしその夢と解き明かしとを示すならば、贈

り物と報酬と大いなる栄誉を与える。さあ、

わたしの見た夢を話せ!! 」

 

 彼らは震えあがってしまいました。

「王様、いくらなんでも、それはご無理とい

うものです。ご自分が思い出せないのに、そ

の夢をわたしに示せなんて、今までこんな無

理な命令をなさった王様のことなど、聞いた

ことはございません。王様のお尋ねになるこ

とは余りにもむずかしいことゆえ、肉なる者

と共におられない神々以外には、それを王様

の前に示すことのできる者はございません」


 はしなくも彼らは、自分たちが仕えている

偶像の神々の、無力であることを告白してし

まったのです。


 王は怒り心頭に発し、バビロンの知者たち

をみな殺しにせよと厳命しました。そのとば

っちりをくって、ダニエルという青年のとこ

ろにも、役人たちがつかまえに来ました。


 彼は数年前、王が攻め込んだユダヤの国か

ら、捕虜としてつれて来られた貴族の子弟で

すが、廉潔とすばらしい知恵と才能とのゆえ

に、彼の友人らと共に、ごく最近、王に仕え

る者となっていたのです。


 なぜ、自分が捕えられ、殺されねばならぬ

のかという理由がわかると、その役人に頼ん

で王の前につれて行ってもらいました。そし

て必ず、その夢と解き明かしとを申しあげま

すゆえ、しばらくの時と知者たちに赦しを賜

えと、王に懇願いたしました。


 ダニエルは家に帰り、同じユダヤの捕虜仲

間の三人と心を一つにして、彼らが信じる天

地の造り主、また支配者でもある神に、その

夢を示し、この危難から救い出してくださる

ようにと、真剣に祈り求めたのです。


 神はその夜、幻のうちに、この夢の秘密を

ダニエルに示されたので、彼は歓喜して神を

ほめたたえました。


 そして翌朝、喜び勇んで、王の御前にやっ

て来たのです。


 夢の解き明かし

 ここまでは、旧約聖書のダニエル書二章の

初めのほうの要約ですが、次にその二章二六

節から引用いたします。


『王は …… ダニエルに言った、「あなたはわ

たしが見た夢と、その解き明かしとをわたし

に知らせることができるのか」。ダニエルは

王に答えて言った、「王が求められる秘密は、

知者、法術士、博士、占い師など、これを王

に示すことはできません。しかし秘密をあら

わすひとりの神が天におられます。彼は後の

日に起るべき事を、ネブカデネザル王に知ら

されたのです。あなたの夢と、あなたが床に

あって見た脳中の幻はこれです。王よ、あな

たが床におられたとき、この後どんな事があ

ろうかと、思いまわされたが、秘密をあらわ

されるかたが、将来どんな事が起るかを、あ

なたに知らされたのです。……

 王よ、あなたは一つの大いなる像が、あな

たの前に立っているのを見られました。その

像は大きく、非常に光り輝いて、恐ろしい外

観をもっていました。その像の頭は純金、胸

と両腕とは銀、腹と、ももとは青銅、すねは

鉄、足の一部は鉄、一部は粘土です。あなた

が見ておられたとき、一つの石が人手によら

ずに切り出されて、その像の鉄と粘土との足

を撃ち、これを砕きました。こうして鉄と粘

土と、青銅と、銀と、金とはみな共に砕けて、

夏の打ち場のもみがらのようになり、風に吹

き払われて、あとかたもなくなりました。と

ころがその像を撃った石は、大きな山となっ

て全地に満ちました。

 これがその夢です」。』 (ダニエル書2:26-

36)


 ダニエルが語りゆくにつれて、ネブカデネ

ザル王の脳裏に、まざまざと一昨夜の夢がよ

みがえってきました。王は思わず唸り、身を

乗り出し、かたずをのんで聞き入りました。

ダニエルはなお続けます。


「今わたしたちはその解き明かしを、王の前

に申しあげましょう。王よ、あなたは諸王の

王であって、天の神はあなたに国と力と勢い

と栄えとを賜いました。 …… あなたはあの金

の頭です。あなたの後にあなたに劣る一つの

国が起ります。また第三に青銅の国が起って、

全世界を治めるようになります。第四の国は

鉄のように強いでしょう。鉄はよくすべての

物をこわし砕くからです。鉄がこれらをこと

ごとく打ち砕くように、その国はこわし砕く

でしょう。あなたはその足と足の指を見られ

ましたが、その一部は陶器師の粘土、一部は

鉄であったので、それは分裂した国をさしま

す。……その国は一部は強く、一部はもろい

でしょう。あなたが鉄と粘土との混じったの

を見られたように、それらは婚姻によって、

互に混ざるでしょう。しかし鉄と粘土とは相

混じらないように、かれとこれと相合するこ

とはありません。それらの王たちの世に、天

の神は一つの国を立てられます。これはいつ

までも滅びることがなく、その主権は他の民

にわたされず、かえってこれらのもろもろの

国を打ち破って滅ぼすでしょう。そしてこの

国は立って永遠に至るのです。一つの石が人

手によらずに山から切り出され、その石が鉄

と、青銅と、粘土と、銀と、金とを打ち砕い

たのを、あなたが見られたのはこの事です。

大いなる神がこの後に起るべきことを、王に

知らされたのです。その夢はまことであって、

この解き明かしは確かです」  (ダニエル書

2:36-45)


 ここまでダニエルが話した時、ネブカデネ

ザル王は驚きと感激の余り、王座からすべり

降り、いと高き神のみ前にある思いで、ユダ

ヤの一捕虜にすぎないダニエルの前にひれ伏

してしまいました。そして、

「あなたがこの秘密をあらわすことができた

のを見ると、まことに、あなたがたの神は神

々の神、王たちの主であって、秘密をあらわ

されるかただ」(ダニエル書2:47)

と、心からその神の偉大さをほめたたえてい

ます。


 夢と歴史

 さて、王の見た大いなる像の夢は、その時

からの世界の将来ーー大いなる国々の興亡に

関することであるとありました。はたして世

界の歴史は、この二千六百年前になされた預

言のように推移してきたでしょうか?


 ネブカデネザル王の「金の国」新バビロニ

ア帝国を倒したのは、歴史によればキュロス

大王の率いるメディヤ・ペルシャの連合ーー

ペルシャ帝国です。そのペルシャを滅ぼした

のは、一小国マケドニアの王から身を興し、

瞬く間にギリシャ全土を平定し、破竹の勢い

をもって遠く東の方インダス河畔まで版図を

ひろげたギリシャ帝国のアレキサンダー大王

です。


 戦いにはめっぽう強かった大王も自分の肉

欲には勝てず、酒に呑まれてわずか三十三歳

で死んでしまい、ついで起こった武将たちの

後継争いによって、この大帝国は四つに、そ

してのちには三つに分裂してしまいました。


 やがて、西の方から興ったローマによって、

アレキサンダーの国は併呑されてしまい、歴

史上かつてない広大な領土を有する強国、ロ

ーマ帝国が誕生します。


 著名なイギリスの歴史家ギボン(1737-17

94)は、この預言とは関係なく、有名な『ロ

ーマ帝国衰亡史』に「鉄の国ローマ」と記し

ていることは、奇しき一致と言わねばなりま

せん。


 なお、ダニエル書の七章から九章は、二章

以上に驚くべき預言であり、それらを比較研

究します時に、銀の胸と両腕=ペルシャ帝国、

青銅の腹ともも=ギリシャ帝国、鉄のすね=

ローマ帝国であることが、いっそうはっきり

します。


 ローマ帝国は、東ローマと西ローマに分離

し、また、ゲルマン民族の侵入によって、ア

レマニィ、フランク、アングロサクソン等の

十の国々に分裂し、今日のヨーロッパの諸国

となっています。そのなかには鉄のように強

い国もあり、粘土のようにもろい国もありま

す。


 分裂した国々を統合して、ローマ帝国の栄

光を再現しようと、カール大帝、カール五世、

ナポレオン、カイゼル、ヒトラーたちは、そ

れぞれの懸命の力を使用しましたが、預言に

よれば、鉄と粘土とを一緒に固くまとめよう

とするはかない徒労であり、失敗は初めから

明らかであったわけです。


 武力で一緒にすることがむずかしいなら、

「婚姻によって」とあるように、結婚政策に

訴えましたが、結局、第一次世界大戦は、親

戚同士の王室を戴く国々の間で戦われるはめ

になってしまいました。


 まことの神は、二千六百年も前から、人間

のいかなる方策や努力をもってしても、ロー

マ帝国瓦解後のヨーロッパを一つにすること

はできないと断言しておられるのです。ヨー

ロッパを一つにできなければ、世界を一つに

することもできません。


 悪魔の暗躍と人間の限界

 こう申しますと、ある方々は反発されるか

もしれません。

「君は世界平和のために、日夜、真剣に尽く

している善意の人々の努力と献身を嘲り、人

類の不幸を望むのか!?」

と。


 いいえ、決して !!  私も心から、人類の平

和と幸福を望む者です。しかし、人間のなす

ことには、おのずから限界があることを、謙

虚に認めるべきでないかと思うのです。


 イラン、イラクの幾万人もの尊い人命を犠

牲にし、大切な輸出物資、地球資源である石

油をボンボン燃やしての三年にもわたる愚か

な戦争、そしてそれをいっこうに止めさせる

こともできない国際連合の無力さ!? 現在、

保有している水爆で、完全に全人類を滅ぼし

尽くすことができるというのに、宇宙戦争ま

で計画している東西両陣営の、はてしなき軍

備競争などを考えますと、まさに「悪魔には

められた」としか言いようのないのを感じま

す。


 また、かつては一枚岩を誇った社会主義国

家間における反目や抗争、EC諸国間の利害の

不一致によるゴタゴタ等々、数えあげます時

に、人間の知恵と力で、世界を一つにしたパ

ラダイスの建設などということは、それこそ、

「言うは易く、行なうは難し」が、正直なと

ころではないでしょうか。


 その上、人類の生存にぜひ必要な空気、水、

土壌などの世界的汚染、人心の荒廃、犯罪の

激増、食糧の絶対的不足と資源の涸渇等々。

H・G・ウェルズならずとも、「この袋小路

を、どうしても抜け出す道はない。これでお

しまいである」と言いたくなります。


 イエスが言った、

「人々は世界に起ろうとする事を思い、恐怖

と不安で気絶するであろう」(ルカ21:26)

との預言が、今や文字通り成就しているのを

感じます。


 残された希望

 しかし、それに続くイエスの言葉にご注目

ください。


「そのとき、大いなる力と栄光とをもって、

人の子が雲に乗って来るのを、人々は見るで

あろう。これらの事が起りはじめたら、身を

起し頭をもたげなさい。あなたがたの救が近

づいているのだから」(ルカ21:27)


 この「人の子」とは、新約聖書をよく学べ

ば、イエス・キリスト自身のことであること

がわかります。すなわち全人類が終末の恐怖

におそれおののいているその時に、キリスト

は神を信じ、彼を信じる者の救いのために、

「雲に乗って」来るのです。


 これが、「一つの石が人手によらずに切り

出されてその像」を撃って粉微塵にし、その

石は、「大きな山となって全地に満ち」たと

いうダニエルの預言を成就するものなのです。


 ダニエルは、「それらの王たちの世」ーー

ヨーロッパが武力によっても婚姻によっても

外交によっても一つになれず、小さな国に分

かれている時代ーーに、「天の神は一つの国

を立てられます。………そしてこの国は立って

永遠に至るのです」と解き明かしをしました

が、キリストによって建設される国こそ、そ

れであるということです。


 彼はもう一度、地上に生まれ育ち、偉大な

る人物として現れるのではなく、「大いなる

力と栄光とをもって雲に乗って来る」のです。

地上において、「キリスト」を称して現れる

者は、すべてニセ者であるから絶対にだまさ

れないようにと、キリストは何度も警告して

います。


 UFOとか、「異星人の襲来」とか、「宇宙

人の攻撃」とかいう本がよく売れている昨今

です。それらはどうであれ、ぜひ、この「キ

リストの再臨」(キリストが再び来るという

こと)に心をとめていただきたいのです。そ

れは人類歴史上、空前絶後の大事件であり、

破滅に瀕した全人類にとっての「唯一の希望」

と考えるからです。


  「私はクリスチャンではないから関係ない

よ!!」という方には、「その日は地の全面に

住むすべての人に臨むのである」(ルカ21:

35)と、キリストはちゃんとダメを押してい

るのです。


 人類の堕落と神の恵み

 神が造り主なら、なんでこんなデタラメな

世界を造ったんだ!! 」と、しばしば、質問を

受けます。


 しかし聖書は、神は世界を完全に造ったと

言っています。そして、人類は、アメーバー

みたいなものから進化してきたものではなく、

「神のかたちに完全に造られた一組の夫婦の

子孫である」と言っているのです。


 「神のかたちに」ーーこんなすばらしい人

間像はないのではないでしょうか。彼らはそ

の造り主である神に従順である限り、死を見

ることなく、永遠に幸福に生きられるはずで

した。しかし残念ながら、神の敵である悪魔

にだまされ、造り主であり、生命と全き幸福

の付与者である神に反逆した結果、いっさい

の不幸と死が、世界と人類に及ぶに至ったと

聖書は言っています。


 神は反逆した人類を滅ぼすかわりに、はか

り知れないその愛と憐れみのゆえに、ひとり

子を一人の処女を通して、人の子としてこの

世に生まれさせ、人類の罪の身代わりとして、

十字架の上に死なせられた。


 キリストは、十字架の死に至るまで、まっ

たく父なる神に従順であられたゆえに、神は、

三日目にキリストを死からよみがえらせられ

た。キリストは四十日後に昇天し、父なる神

の右の座につかれ、彼の十字架の死をわが罪

の身代わりとして心から受け入れた者のため

に、弁護者として、父なる神にとりなしてお

られる。そして、その者たちを永遠に救うた

めに再び来られると、聖書は宣言するのです。


 初めての方には、死人がよみがえるなどと

いうことは、噴飯物に聞こえるかと思います

が、実はこれこそキリスト教の信仰の生命な

のです。また、いろいろな聖書解釈がありま

すが、聖書を素直に、かつ忠実に読み学べば、

私の記すことにご理解、納得していただける

と思います。これらのことについては、もっ

と詳しく書きたいのですが、すでに紙数が尽

きましたので、結論を急がせていただきます。


 神の国

 それは、キリストの再臨によって建設され

る神の国とは、ということです。キリストの

十二弟子のひとりのヨハネが、幻を見せられ

て書くように命じられた黙示録から引用いた

します。


『わたしはまた、新しい天と新しい地とを見

た。先の天と地とは消え去り、海もなくなっ

てしまった。 …… また、御座から大きな声が

叫ぶのを聞いた、「見よ、神の幕屋が人と共

にあり、神が人と共に住み、人は神の民とな

り、神自ら人と共にいまして、人の目から涙

を全くぬぐいとって下さる。もはや、死もな

く、悲しみも、叫びも、痛みもない。先のも

のが、すでに過ぎ去ったからである」。

 すると、御座にいますかたが言われた、「

見よ、わたしはすべてのものを新たにする」。

また言われた。「書きしるせ。これらの言葉

は、信ずべきであり、まことである」。』

(ヨハネの黙示録21:1-5)


 「死もなく、悲しみも、叫びも、痛みもな

い」世界の建設を、人間はたとえ夢みたとし

ても、不可能なのではないでしょうか。


 しかし神は、ご自分がなすと、太鼓判を押

して誓っておられるのです。


 私には、この偉大なる造り主に逆らい、悪

魔の策略にまどわされ続けるならば、人類が

滅亡の淵に立たされるのは、「当たり前」の

ことに思われます。


 また、ご自分のひとり子を犠牲にしてまで

も、罪深い人間を救おうとなさる憐れみ深い

神が、全知全能なるお方であるならば、悪魔

を滅ぼし、死も悲しみも叫びも痛みもない世

界を造れるのも、「当たり前」のことと思わ

れるのです。











      小社発行・『北陸の燈』第4号より

      第2回「現代の声」講座提言者

                テーマ:現代に聖書は必要か

 

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 【2024年1月8日配信】          お金から「いのち」の時代へ(10)             たくましくやさしき能登に光させ                    2024年3月11日              気仙沼市 菅野 千鶴子                              二隻だけでは足りない話にならない      被災者全員を救う方法を考えるべき    「五百年のひびき」   「日々是稽古」 .        輪島名舟の人たちへのインタビュー .    当講座記事NO.318 世界に範たる日本国になるには 強震モニタ .    地震情報 .                           緊急に避難所の設備充実を          大地震から一週間たった今、改めて 以下の記事を再掲します。   日本海側の原発の現況が気になります。  当講座記事 NO.296と 297で珠洲原発  のことに言及しました が、珠洲原発が  建設されていたらこの地震で日本列島  と朝鮮半島には人が住めなくなってい  たのではないでしょうか。珠洲原発を  絶対に安全だと主張して推進していた  関 西 電力、中部電力、北陸電力、経産  省、政府は 謝罪声明を出すべきだと思  います。    震災被災者の避難先に下記写真のように  ビニールハウスが何箇所かありました。  ここは個人や隣近所で自主的に避難した  場所だと思います。ビニールハウスは、  地震に強いのではないでしょうか。    また、私は高校時代、山岳部で部活動を    していたのでその経験からすれば、冬用    テント、ツエルト、シュラフ、ヤッケ、  ポンチョ、コッフェル、ラジウスなどの  山岳装備を キ スリングに入れておき、 か  つ、テントの張り方、炊事の仕方を日頃  から練習し、いつでも野営に備えていた  らいいのではないかと思いました。  もっともこれらに相当する準備は、国、  県、市町 村の首長や各議員が、常日頃か  ら個人の人権とプライバシーに心配りを  したうえで、率先してしなければならな  い極めて重要な政治の仕事であると思い  ます。特に今現在おこっている震災は、  何年も前から充分に予測できたことだけ  に、最低でも上記の準備だけはできたは  ずです。「残念」とか「遺憾

311. レジェンド記者、真実を追う

 【2023年8月2日配信】小社発信記事      木原事件、ジャニーズ事件、 松本VIP事件、 自民裏金脱税事件、政治、ジャーナリズム                      佐藤章 さんの発言とともに考える            尾崎豊『ダンスホール』1984.3.15  東京新宿RUIDO 浅 川マキ/ ライブ夜 1977.11.19 京大西部講堂 桃山晴衣『遊びをせんとや生まれけん』 最新のジャニーズ・松本VIP事件、震災その他記事 当講座記事NO.320 2024.3.6 谷本誠一さん、中川秀直衆議秘書時代を語る 広島県前呉市議(6期)の谷本さんが 高校生の インタ ビューに応えてパー券販売、地盤培養活動などを話す。 撮影 2023.8.3 2021.5.21 佐藤章さんスクープ解説動画 第二次安倍内閣安倍晋三首相退陣の真相 木原事件を考える 2023.8.2 志あるジャーナリストへの呼びかけ .  2023.8.20 黒澤明『天国と地獄』仲代達矢の圧巻の台詞 .                       「被害者・遺族の無念を晴らす。これが刑事の仕事」     佐藤誠元刑事記者会見 2023.7.28 コロンボ、安浦吉之助、 十津川省三、杉下右京をしのぐ 佐藤誠さん の 言葉。「 日本の心」はまだまだ生きている。 同時に加害者側の動機、心情も併せて理解すべきである。 日本の歴史、社会、政治を変える日本史上最高記者会見                    2023.8.8 真犯人 Z氏と木原氏の人生を考える 2023.8.17 事件当日の Z 氏の行動を考察する 2024.8.24 民主主義の岐路.検察再捜査の動き    2029.8.30 事件のもみ消しを決して許してはならない    2023.8.31 事件を報道しない既存のメディアへの怒り                                                     文春報道によれば、2006 年 4月 9日の 午後10時ごろに東京都内で安田種雄さんと いう方が殺されたが自殺とされた。そして 2018年春に捜査が再開されたが、本格的な 捜査に入ろうとした矢先の同年10月下旬に 捜査が突然打ち切られた。  この事件の捜査に当たった警視庁元刑事 の佐藤誠さんが、先月28日に

307. 職人の心意気 -「技」の文化 -

 【2023年7月3日配信】   手作りへのいざない    -「技」の文化-     縫い針のひとはりに込める夢  敦賀市 宮岸 かなえ                     てのひらに落ちる雨滴が灯をともす     鹿児島市 井上 治朗                        器(うつわ)  器への思い    九谷焼絵付師  宮保 英明         用という約束の形を提供しながら、その 形の中でどれだけ新鮮な自身の感覚を保ち 得るか、どんな可能性を引き出し得るか、 自身を試す姿勢で器と向かい合いたい。  自意識による変身、習慣のタガをはずし、 本来まったく自由に扱える創作表現への自 意識を、材質としての焼きものにぶつけた い。  盛られる料理に好かれる器。使いよくて 楽しくて、ついつい使ってしまう器。見た 目に静かで、しかし強い存在感を持ち、素 直に語りかけてくる。そんなものを心がけ てつくりたい。 みやぼ ひであき 20歳から絵付けをはじめる。 1950年石川県白山市生まれ。 石川県加賀市日谷(ひのや)在住。 日谷川をはさんで両側に民家と山が並ぶ。 谷間の村・日谷の向こうには人はいない。 宮保家の裏もすでに森である。 仕事をするのにいい場所をさがし歩き、 1984年の夏、白山市から引っ越してきた。 「ときどき熊が顔を出す」と妻の文枝さん。 小社発行・『北陸の燈』第4号より 撮影・八幡スタジオ 当講座記事NO.21、249再掲 当講座記事NO.223、「職」に関する記事から     芭蕉布ムーディー綾番匠くずし 平良 敏子   鋏 川澄 巌  文駒縫(あやこまぬい) 竹内 功   匠  足立区が誇る「現代の名工」    当講座記事NO.269、「世界屈指の技と清ら」から   流し猫壺 河井 寛次郎      「祖父寛次郎を語る」鷺 珠江さん     当講座記事NO.280、「湯の人(4)」から   樹 -卒業制作- 青木 春美     当講座記事NO.22、「織を通して学んだこと」から     絹本著色方便法身尊影  1500年製作      当講座記事NO.72、「松帆榭にて」から   千年の土 珠洲焼 篠原 敬    当講座記事NO.296、「あの日のこと」から     バンチェン土器   タイ・バンチェン遺跡     当講座記事NO.288、「個

224. 天と地をつなぐ「おわらの風」

【2022年1月22日配信】   大寒           七尾市 石島 瑞枝             雪解けの春風を待つ坂の町               秋風 (2023.9.3)            横浜市 髙祖 路子    夜流しの音色に染まる坂の街                         鏡町地方衆、先人のご苦労をしのびその息吹に応える夜流し .  今町のおわら .      2023.9.3 最終日、西町青年団最終おわらの舞い .                               撮影 木偶乃坊写楽斎さん         〈参考〉                               越中八尾おわら風の盆               「深夜の夜ながし」      日本と日本人が失くしてしまった、  奪 われてしまった温かい心情、 郷愁  --それらを求めて各地から 数多の  見物者 が、 魅入られたかのように、  取りもどす か の ように八尾へ と 足を  運 ぶ の だろうか。  高橋治と石川さゆりの『風の盆恋歌』  の影響が大きいとも八尾ではいわれ  て いる。言葉と 歌の 力のすごさか。  事実、この 歌 の前と後とでは、風の  盆訪問 者 数に圧倒的な差がある。  紅白で、「命を賭けてくつ がえす」  と、着物の 袖 を 強く 握りしめ 揺さぶ  り ながらうた った 「くつがえす」の  一語の中に、日本の 歌手 として歩ん  できた 石川さゆりの、 自 らの心の奥  底にある深い 懐 いをも 包んだ 全 情念  が 込め ら れて い る。  旅人の多くが八尾に滞在してい る中、  わずかのさすがの通だけが、おわら  本来 の良 さ が漂っている深夜の夜流  し の、 後ろ姿を見ている。個性 ある  いで たちもすばらしい。  おわらは見せるものなのか、見られ  るこ とを意識すらせずに心ゆく まで  自ら楽しむものなのか。あるいはま  た、…… …… 高橋治と 石川さゆりは、  諸々のことを考える、見直すための  たいへ ん な「契機」 を 与 えて くれ た  ので ある 。    個人的な所感を述べれば、おわらは  縄文と江戸の文化が八尾で花開いた  ような気がする。  (当講座編集人)    鏡町の踊りに魅入

235. 「兵戈無用」への道程

【2022年2月17日配信】   プーチンへの右手の励ま し   ウクライナと非戦を考える -自由と平和への歴史的飛翔-       ワリエワ問題・負けて勝つ逆転の超美技                      越前市 朝倉 陽子       Flying For Real Freedom And  Peace    二本 刃土俵入り                                                                                                                                                     兵戈無用へ向けて                  ロシア民謡「鶴」          鶴 (Журавли) 日本語字幕     歌  アレクサンドラ・べリコヴァ              Александра Белякова        鶴 - Wikipedia     当講座記事NO.170より        木偶乃坊写楽斎さん撮影    当講座記事NO.283、284、285、300から       以下も朝倉陽子さんの川柳 ワリエワの薬物疑惑事細かに報ずれどワクチン成分問わぬ報道 オリンピックを政治と憎しみの場に変質するIOC     スポーツ精神もわきまえぬIOC面々五輪稀有の至宝をも潰さんと 嫉妬深い狭量小バッハへの大バッハの怒り天を衝く 今の世とあるべき世の構図を北京に見る せめて競技者と元競技者だけですればどうか五輪運営 天賦の才ひきだすト ウ トベリーゼをIOC会長に 師を越えるカミラの願い現実に 速さ華麗さ柔らかさに強さもあわせもつ宙へ羽ばたくカミラの舞い 荷が重すぎても実力歴代世界一十五歳ワリエワ史上最高演技   ワリエワの右手の励ましに木陰で胸なでおろすプーチン一滴の落涙     写真 2022.2.18 日刊スポーツ   〈参考〉 読者の方々から以下のご意見がありました。  「 IOCこそ問題  ジャンプ服の違反やドーピングに関して、 服については競技前に検査すればいいだけ の問題であり、ドーピングに関しても大会 前に把握解決しておけばいいだけの問題で ある。大会中にこれらの問題を引き起こす ことは、IOCが

314. 哲学の時代へ(第13回)

 【2023年9月1日配信】   お金から命 の時代へ(8)    薪を負うて名定まる                「知の無知」 ソクラテスの嘆き        青梅市 山下 秀美                            毒あおぎ今ごろ悔いるソクラテス                               毒杯を奪い地に叩き割る者はいなかったのか          わが腹中を知らずや毒を急ぐ人々      奇術師の手品のようなピーシーアール           プラトンも注射に走る恩知らず         アリストテレスよおまえもか  わしともあろうものがなかった先見の明  クサンチッペが一番まともだった      「あんたはほんとにおばかさん」    今一番語りあいたしディオゲネス     「ひなたぼっこのじゃましないでくれ」  ミュルトはどうしている    フリュネとも話がしたい   ディオゲネスの唯一理解者  毒消しをわしは今アポロンに頼んでいる       孔子とはわしのことかとソクラテス    彼の人にもなってしまったが   人類の罪を背負うという意は    命を賭して彼の人を救おうと   し た者は誰もいなかったのか      同じ過ちは何度も繰りかえせ   賢明な弟子は師を選び鍛える      以下参考   今野ゆうひさん、当講座記事NO.303    マスク社会への決断・問われる学校教育   谷本誠一さん、釧路マスク強制降機の真相     この真相についての谷本誠一さん執筆原稿   司法との戦い第2ステージへ( 2023.10.1 動画)       谷本誠一さん執筆、当講座記事NO.161     国民主権・国民の命と自由と人権    高校1年生が谷本誠一さんを取材(2023.8.3 動画)    谷本さん青雲の志中学高校時代を語る    谷本さん将棋奨励会大阪時代を語る    谷本さん中川秀直衆議秘書時代を語る   2024.3.5 参議院予算委員会   柳ヶ瀬裕文議員、新型コロナワクチン被害につき質問   2024.3.7 文春オンライン、福島雅典京大名誉教授   「コロナワクチン後遺症」驚愕の調査結果発表   当講座記事NO.289 コロナ再考、甦る親鸞の他力   同268 いま一度、コロナについて考えてみよう 〈小社推

275. スポーツを文化にするために

【2022年10月10日配信】     交驩のエール     花開きつつあるエンジョイベースボール    「学生野球考」          慶應義塾大学野球部監督                   前田 祐吉      「サード!もう一丁!」「ヨーシこい」 と いう元気な掛け声の間に、「カーン」と いう 快いバットの音がひびくグラウンドが 私の職 場である。だれもが真剣に野球に取 り組み、 どの顔もスポーツの喜びに輝いて いる。息子 ほどの年齢の青年たちに囲まれ、 好きな野球 に打ち込むことのできる私は、 つくづく、し あわせ者だと思う。  学生野球は教育の一環であるとか、野球 は人間形成の手段であるということがいわ れるが、私の場合、ほとんどそんな意識は ないし、まして自分が教育者だとも思わな い。どうしたらすべての野球部員がもっと 野球を楽しめるようになるのか、どうした らもっと強いチームになって、試合に勝ち、 選手と喜びを共にできるのか、ということ ばかり考えている。  野球に限らず、およそすべてのスポーツ は、好きな者同志が集まって、思いきり身 体を動かして楽しむためのもので、それに よって何の利益も求めないという、極めて 人間的な、文化の一形態である。百メート ルをどんなに早く走ろうと、ボールをどれ だけ遠くへカッ飛ばそうと、人間の実生活 には何の役にも立たない。しかし、短距離 走者はたった百分の一秒のタイムを縮める ために骨身をけずり、野球選手は十回の打 席にたった三本のヒットを打つために若い エネルギーを燃やす。その理由は、走るこ とが楽しく、打つことが面白いからにすぎ ない。さらにいえば、より早く走るための 努力の積み重ねが何物にも替えがたい喜び であり、より良く打つための苦心と練習そ のものに、生きがいが感じられるからであ る。  このように、スポーツは余暇を楽しみ、 生活を充実させるための手段で、それ以外 には何の目的もないはずである。むしろ目 的のないことがスポーツの特徴であり、試 合に勝つことや良い記録を出すことは、単 なる目標であって終局の目的ではない。  かつて超人的な猛練習でスピードスケー ト の王者といわれ、冬季オリンピックの金 メダルを独占したエリック・ハイデンは「 金メダルは私の人生の目的ではない。それ に至るプロセスの喜びが私
         柿岡 時正
         廣田 克昭
         酒井 與郎
         黒沢  靖
         神尾 和子
         前田 祐吉
         廣田 克昭
         伊藤 正孝
         柿岡 時正
         広瀬 心二郎
         七尾 政治
         辰巳 国雄
         大山 文人
         島田 清次郎
         鶴   彬
         西山 誠一
         荒木田 岳
         加納 韻泉
         沢田 喜誠
         島谷 吾六
         宮保 英明
         青木 晴美
         山本 智美
         匂  咲子
         浅井 恒子
         浜田 弥生
         遠田 千鶴子
         米谷 艶子
         大矢場 雅楽子
         舘田 信子
         酒井 由記子
         酒井 由記子
         竹内 緋紗子
         幸村  明
         梅  時雄
         家永 三郎
         下村 利明
         廣田 克昭
         早津 美寿々
         木村 美津子
         酒匂 浩三
         永原 百合子
         竹津 清樹
         階戸 陽太
         山本 孝志
         谷口 留美
         早津 美寿々
         坂井 耕吉
         伊佐田 哲朗
         舘田 志保
         中田 美保
         北崎 誠一
         森  鈴井
         正見  巖
         正見  巖
         貝野  亨
         竹内 緋紗子
         滋野 真祐美
         佐伯 正博
         広瀬 心二郎
         西野 雅治
         竹内 緋紗子
         早津 美寿々
         御堂河内 四市
         酒井 與郎
         石崎 光春
         小林 ときお
         小川 文人
         広瀬 心二郎
         波佐場 義隆
         石黒 優香里
         沖崎 信繁
         山浦  元
         船橋 夕有子
         米谷 艶子
       ジョアキン・モンテイロ
         遠藤  一
         谷野 あづさ
         梅田 喜代美
         小林 ときお
         中島 孝男
         中村 秀人
         竹内 緋紗子
         笠尾  実
         前田 佐智子
         桐生 和郎
         伊勢谷 業
         伊勢谷 功
         中川 清基
         北出  晃
         北出  晃
         広瀬 心二郎
         石黒 優香里
         濱田 愛莉
         伊勢谷 功
         伊勢谷 功
         加納 実紀代
         細山田 三精
         杉浦 麻有子
         半田 ひとみ
         早津 美寿々
         広瀬 心二郎
         石黒 優香里
         若林 忠司
         若林 忠司
         橋本 美濃里
         田代 真理子
         花水 真希
         村田 啓子
         滋野 弘美
         若林 忠司
         吉本 行光
         早津 美寿々
         竹内 緋紗子
         市来 信夫
         西田 瑤子
         西田 瑤子
         高木 智子
         金森 燁子
         坂本 淑絵
         小見山 薫子
         広瀬 心二郎
         横井 瑠璃子
         野川 信治朗
         黒谷 幸子
         福永 和恵
         小社発信記事
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         秋山 郁美
         加藤 蒼汰
         森本 比奈子
         森本 比奈子
         吉村 三七治
         石崎 光春
         前田 佐智子
         前田 佐智子
         前田 佐智子
         前田 佐智子
         中野 喜佐雄
         八木  正
         堀  勇蔵
         家永 三郎
         広瀬 心二郎
         菅野 千鶴子
         海野 啓子
         菅野 千鶴子
         海野 啓子
         石井 洋三
         小島 孝一
         キャリー・マディ
         谷本 誠一
         宇部  功
         竹内 緋紗子
         谷本 誠一
         酒井 伸雄
163、コロナ禍の医療現場リポート
         竹口 昌志
164、この世とコロナと生き方を問う
         小社発信記事
165、コロナの風向きを変える取材
         橋本 美濃里
166、英断の新聞意見広告
         小社発信記事
167、ワクチン接種をしてしまった方へ
         小社発信記事
168、真実と反骨の質問
         小社発信記事
169、世論を逆転する記者会見
         小社発信記事
170、世界に響けこの音この歌この踊り
         小社発信記事
171、命の責任はだれにあるのか
         小社発信記事
172、歌人・芦田高子を偲ぶ(1)
         若林 忠司
173、歌人・芦田高子を偲ぶ(2)
         若林 忠司
174、歌人・芦田高子を偲ぶ(3)
         若林 忠司
175、ノーマスク学校生活宣言
         こいわし広島
176、白山に秘められた日本建国の真実
         新井 信介
177、G線上のアリア
         石黒 優香里
178、世界最高の笑顔
         小社発信記事
179、不戦の誓い(2)
         酒井 與郎
180、不戦の誓い(3)
         酒井 與郎
181、不戦の誓い(4)
         酒井 與郎
182、まだ軍服を着せますか?
         小社発信記事
183、現代時事川柳(六)
         早津 美寿々
184、翡翠の里・高志の海原
         永井 則子
185、命のおくりもの
         竹津 美綺 
186、魔法の喫茶店
         小川 文人 
187、市民メディアの役割を考える
         馬場 禎子 
188、当季雑詠
         表 古主衣 
189、「緑」に因んで
         吉村 三七治 
190、「鶴彬」特別授業感想文
         小社発信記事
191、「社会の木鐸」を失った記事
         小社発信記事
192、朝露(아침이슬)
         坂本 淑絵
193、変わりつつある世論
         小社発信記事
194、ミニコミ紙「ローカル列車」
         赤井 武治
195、コロナの本当の本質を問う①
         矢田 嘉伸
196、秋
         鈴木 きく
197、コロナの本当の本質を問う②
         矢田 嘉伸
198、人間ロボットからの解放
         清水 世織
199、コロナの本当の本質を問う③
         矢田 嘉伸
200、蟹
         加納 韻泉
201、雨降る永東橋
         坂本 淑絵
202、総選挙をふりかえって
         岩井 奏太
203、ファイザーの論理
         小社発信記事
204、コロナの本当の本質を問う④
         矢田 嘉伸
205、湯の人(その2)
         加藤 蒼汰
206、コロナの本当の本質を問う⑤
         矢田 嘉伸
207、哲学の時代へ(第1回)
         小社発信記事
208、哲学の時代へ(第2回)
         小川 文人
209、コロナの本当の本質を問う⑥
         矢田 嘉伸
210、読者・投稿者の方々へお願い
         小社発信記事
211、哲学の時代へ(第3回)
         小社発信記事
212、哲学の時代へ(第4回)
         小社発信記事
213、小説『金澤夜景』(2)
         広瀬 心二郎
214、小説『金澤夜景』(3)
         広瀬 心二郎