「樹」 ― 卒業制作 ―
【2020年9月15日配信 NO.22】
織を通して学んだこと
金沢美術工芸大学 青木 晴美
物に込められた心。
物を作ることの大変さ尊さ。
実際やっている時、色々と大変だった。
当り前のことなのかもしれない。でも、この
「実際やってみると色々と大変だ」ってこと
を体験することが少ない今の時代だと思う。
物に恵まれて、自分が何もしなくても不自由
しない世の中で、少なくとも私は、実際に自
分の手で一つのことをやり遂げる苦労と喜び
を知らずに育ってきたような人間だったから
織の仕事一つ一つが尊い体験だった。
樹・大樹ーそこには全てを包み込むような大
きさを感じる。樹の色は、とても深く温い。
その色の上に投ぜられた波紋は水面。広い水
面に感じる安堵感。
自分の表現したいものは何か。ー自分の心を
まっすぐに見つめて、それを一つの表現方法
の中で昇華していく。
この織を通して学んだことを、これからどん
なことをやっていく上でも生かしていきたい。
(静岡県出身・「樹」縦3.0m×横4.3m)
小社発行・『北陸の燈』第3号より
写真は小社撮影