黄昏に燃え尽きろ
【2020年11月14日配信 NO.67】
石川県金沢市
運転手 小林 ときお
知らず知らず その内なるものに
積み重ねてきた業なるものが
やがて炎となって燃えあがる時
自制の効かない限度のもろさに
はからずも挫折する時に
人は果して
真の意味においての涙を
流せるものだろうか
涙の意味さえ正確に把握し切れずに
積み重ねて来たものが
ただ年齢だけであると云う
とり返しのつかない誤解が
追いつめられた時に
はじめて燃えあがる炎の大きさにおびえ
灼きつくされるのかも知れない
一人で生きていると云う錯覚が
幻影として型づくっていることに気付き
振り返る時に
己の投げ出す影の長さの
その内なる翳りの暗さに
つい瞼をふさぎたくなるのだろう
思いのすべてが憧れとしての夢であり
儚くつかみ切れないものであると
知らされる時
誰もがうつむき加減の微笑を浮べ
ふとそらす視線の彼方に
沈みゆく黄昏の織りなす意味を
その内なる炎の中にみつけることだろう
そして焦がれるだけ
思いのたけ炎の中に没頭して
灼け焦がれて燃え尽きてしまえばいい