「緑」に因んで
【2021年9月5日配信 NO.189】
鯖江市 吉村 三七治
万緑や木挽きの歌は山にしみ
小社発行・『北陸の燈』創刊号より
〈参考〉
五島高資さんのブログから
古池の波紋 —命懸けの飛翔—
当講座の NO.140 の記事にも、
吉村三七治さんの句があります。
〈後記〉
李白 静夜思
牀前看月光
疑是地上霜
挙頭望山月
低頭思故郷
「古池や蛙飛びこむ水の音」の句につい
て僭越ながら素人の思いつきを記します。
この〈古池や〉の句は、李白の静夜思の
第一句「牀前看月光」の「牀」を芭蕉は
「井戸」と解釈し、莊子の「井の中の蛙」
にヒントを得て、李白を偲んだ句ではな
いでしょうか。静夜思で李白が偲んだの
は、李白が育った四川省の故郷なのかも
しれませんが、生まれ故郷のスイアーブ
とも考えられないでしょうか。このこと
は、当講座の NO.176 の新井信介さんの
記事と NO.184 の記事を見てそう思った
しだいです。
さらに言えば、芭蕉は、新井信介さんが
語るような史実を世界的な視野をもって
(「井の中の蛙」であると謙虚に自覚し
ながらも)、当時、既に知っていたので
はないでしょうか。
さすれば、古池とはイシククル湖、蛙は
月光、音は湖面に浮かんだ月景色のこと
ではないでしょうか。
いずれにしても〈古池や〉は、静夜思の
真髄、李白の郷愁、李白への敬慕を俳句
にしたものではないでしょうか。
芭蕉の全句にわたって、李白を生涯の師
とする芭蕉の思いが伝わってくるように
感じます。
古池の蛙は大海を知ったのでしょうか。
(2021.9.21夜.編集人)