まだ軍服を着せますか?


【2021年8月3日配信 NO.182】   

小社発信記事              



靖国問題を考える映像ドキュメンタリー 

『まだ軍服を着せますか?』の紹介    












1987.8.15 靖国神社拝殿前

 写真 仏教タイムス提供  




 



 上掲の小社企画、制作、発行のビデオド

キュメント・『まだ軍服を着せますか?』

(DVD・カラー・73分) をぜひ見ていただ

きたく紹介します。

 

 このビデオは、難しいテーマである『靖

国問題』の本質を市井の普通の人間・弱者

の視点、女性の視点、教育的視点、宗教的

視点からできるかぎり分かりやすく、かつ

多くの方に知ってほしいという願い、志し

のもとに利潤抜きで制作したものです。


  1989 年1月に完成・発行(VHS)した

ものですが、第二次安倍内閣が発足してか

らは特に評価されてきました。


 家永三郎東京教育大学名誉教授はじめ、

多くの方々からご推薦、また下記の推薦文

もいただいています。このビデオは、まだ

終わらない『靖国問題』をいまこそ根本か

らとらえ直す契機となると思います。


 このビデオのDVD化を望む方々の励まし

とご協力を得て、2013年8月15日付けで同

DVDビデオを復刻・再発行し、現在追加発

行(第30版)しているところです。


 このビデオのナレーションは、銃後史研

究者( 当講座の記事 NO.97 の執筆者 )の

加納実紀代さんからいただいた研究資料と

アドバイスによってつくりました。かつ、

映像の最終チェックを『朝日ジャーナル』

編集長の伊藤正孝さん(当講座記事 NO.8

執筆者)にお願いしました。


 また、同ビデオのDVD化を機にレジュメ

も作成してみました。下に記します。何か

参考になればと思います。


 これまで日本各地でこのビデオの上映会

と、併せて靖国問題の学習会がなされてい

ます。また、中国、韓国、東南アジアをは

じめ世界の方々に見ていただいています。


 敗戦後まもなく77年目を迎え、『靖国問

題』の論議がさらに深められることを願っ

ってこのビデオを配信します。


 なお、このビデオのご感想、ご批判等い

ただけましたら有り難いです。また、この

ビデオを必要とされる方や直接手元に置き

たい方がいらっしゃいましたら、第 30 版

(2019.11.14 発行) の在庫がまだありま

すので、1本贈呈(送料250円)します。


 メール (gendainokoe@gmail.com) 、は

がき、手紙等にて小社へお名前、送付先を

お知らせいただければチラシ、レジュメ、

推薦文を同封して同ビデオを3日以内に発

送します。郵便振替用紙も同封しますので

送料はそれにてお支払い願えれば幸いです。       

                  金沢出版社代表 番匠 正一





推薦の言葉


家永三郎   東京教育大学名誉教授

     教科書訴訟原告

 

戦前を思わせる現在の状況をふくめて実に

よく描写されており、政府・裁判官ともに

『法に背(そむ)き義に違』(親鸞)する

現代の政治情勢をみておりますと、このビ

デオが社会危機を訴えかけるためにもっと

広く普及することを願ってやみません。




安西賢誠 松山市  真宗大谷派専念寺住職

     愛媛玉串料違憲訴訟原告団長


日本および日本人にとってそもそも靖国問

題とは何か、そしてこの問題にどのように

アプローチすべきか、学習会や研修を企画

したとき一番苦慮するのが、具体的内容、

あるいは靖国の現場からの「声」をどのよ

うに反映させるかという点ではないでしょ

うか。

「法廷の靖国」を15年体験した私の眼か

ら見て、ビデオドキュメント『まだ軍服を

着せますか?』は限られた時間の中で極め

て完成度の高い、つまり靖国問題を考える

上での重要なポイントはほぼ指摘されてい

ると思います。

私たちの四国教区はもとより全組が購入し、

このビデオ学習のためのカリキュラム作成

をしたこともありました。共同学習会や集

会などでまだ利用したことのない方に是非

お奨めします。




柚木祖元 曹洞宗人権擁護推進本部

     事務局長

 

部落解放研究所の宗教部会でこのビデオの

ことを知りました。同ビデオの真摯な取り

組み、取材姿勢がうかがわれ、また、たい

へん難しいテーマである『靖国問題』につ

いて人権啓発ビデオとしてまとめられてい

ます。私どもも教材として購入し、拝見し

たしだいです。どうぞ多くの方々が、この

ビデオをご覧くださるようお薦めいたしま

す。




小野一郎 日本キリスト教団牧師

     故郷の地(大分県玖珠町)にて

     KUSコイノニア(交わり)セン

     ターを開設


靖国神社国家護持反対の運動は風化してし

まう危険にさらされています。しかし、風

化した土壌に、新しい軍国主義や国家主義

の強力な大木が植えられようとしています。

憲法改悪の気運が最近とみに急速なまとま

りを見せようとしていることもその一つの

証拠です。

誤った国家主義や軍国主義によって構築さ

れた権力によって、長年にわたって教育さ

れた人間の心には戦争につながる恐ろしい

ものが生き続けています。

このビデオをじっと見ることによって恐ろ

しい戦争肯定や戦争賛美の心に深くつなが

る靖国神社の本質と、それを利用して新し

い利己主義を国家の名によって再構築しよ

うとする人々の本質が見えてきます。

イデオロギーとか主義主張からではなく、

日常生活の中に浸み込んでいるものへの反

省と懺悔による自己変革の必要性をこのビ

デオは激しく訴えてきます。それだけに、

お互いの対話を深め、何が人間のありかた

であるのかを模索することによって国家の

ありかたを考える機会ともなることを確信

いたします。

21世紀は人権の世紀と言われておりますが、

それを言葉だけに終わらせないためにも、

「靖国の問題」を風化させないようにつと

めたいと願っています。

是非このビデオを手がかりにしての研修を

期待しております。 

 

 



『まだ軍服を着せますか?』


   クランク・イン  1987.8.15

   クランク・アップ 1989.1.7 

    

 ナレーション 石倉 和江

 監修     藤元 正樹

        和田  稠

 取材・撮影  番匠 正一

 制作全責任  金沢出版社





レジュメ

 

-前半- 

1)靖国神社拝殿前

1987年8月15日 東京都千代田区九段北

男性4人-白手袋、帽子、制服姿、日の丸

タイトル

各地から参拝者 旗 リボン 賽銭箱 幕

拝殿から本殿の祭壇を撮る 

祭壇の向こうに霊璽簿奉安殿がある

閣僚の公式参拝

 田村元・通商産業大臣 

 橋本龍太郎・運輸大臣

 斎藤十朗・厚生大臣

 御祓、玉串奉納

 【田村通産相・橋本運輸相は「二礼二拍

 手一礼」の神社形式、斎藤厚相は内閣の

 方針にそって「一礼」した】と新聞記事

 (共同通信)にある

 三閣僚(ともに慶應義塾大学出身、田村

 通産相は先輩風を吹かしている)とも、

 「公式参拝である」と記者団に語る

 斎藤厚相の記帳、肩書をふたつ(字の大

 きさ、高さが違う)記す

葉梨信行・自治相、参拝・記帳のあと記

団に囲まれ「非公式な参拝」と語る

 

2)靖国神社神門前

大村益次郎(長州出身)の銅像のうしろ姿、

向こうに大鳥居が見える

境内のテント内では 『英霊にこたえる会』

(井本台吉会長)、『日本を守る国民会議』

(黛敏郎委員長)共催の「戦没者追悼中央

国民集会」が行われている

拝殿に向かいラッパを吹く男性のインタビ

ュー

軍服姿の男性のインタビュー、その男性の

周囲にいた人たちの声

靖国神社に隣接する遊就館前の神馬

 

3)石川護国神社

198711月1日 石川県金沢市

石川県戦友諸団体の合同招魂祭

同神社前の神馬

雅楽奏者 神主登場(笏、冠、衣、靴)

旗 リボン

来賓 石川県知事、石川県選挙区選出の自

   民党国会議員、自民党県議会議員、

   現職自衛官(小松基地)幹部、殉職

   自衛官遺族代表

団体代表挨拶

玉串奉納 来賓の全員が「二拝(礼)二拍

手一拝(礼)」

雅楽の楽器とその音

 

4)東本願寺御影堂

198712月 京都市下京区烏丸通七条

東本願寺(真宗大谷派)報恩講

雅楽の楽器とその音 火

雅楽奏者 門首登場(扇、修多羅、衣、靴、

世襲制) 内陣

門徒のインタビュー(鳥取県から参拝、朝

5時、一番乗り) 外陣

各地から参拝者 旗 襷 篭 幕

拝む僧侶と門徒、拝まれる親鸞の像

 

5)北陸の浄土真宗門徒の家

仏壇の阿弥陀如来図 居間に神棚 仏間に

戦死者の写真

座敷に東本願寺門首の直筆、明治・大正天

皇の写真、靖国神社と戦死者の額

 

6)戦死した息子の母親の家

靖国神社と戦死者の額 神棚(「皇大神宮」

の文字、伊勢神宮の提灯)

仏間で母親のインタビュー

 靖国神社境内での参拝女性の声

 遊就館の展示品

 出征浄土真宗門徒が身につけたお守り

 靖国神社拝殿前の遺族

 再び遊就館の展示品

 再び靖国神社境内での参拝女性の声

 

7)明達寺

石川県松任市(現白山市)北安田

暁烏敏の生家

境内に「日の丸」掲揚台の跡、戦時毎朝「

宮城遥拝」、朝鮮総督府でも活動

明達寺境内にある「臘扇堂」内

 拝む暁烏敏の像、拝まれる清澤満之の像

朗読 『国体と仏教』(暁烏敏著、北安田

パンフレット)から

 【日本帝国の臣民として我が日本の国を

  お開きあらせられました皇祖皇宗の大

  神の御社に参拝しないといふものがあ

  るならば、それこそしれものでありま

  す】

戦時下の宗教出版物

 『神ながらの道と浄土真宗』(文化時報

  社刊)

 『われらの翼賛体制』(浄土真宗本願寺

  派刊)

 『真宗寺院名簿-朝鮮寺院』(浄土真宗

  本願寺派刊)

 『真宗聖典』(真宗大谷派刊)-教育勅

  語、戊申詔書、国民精神作興の詔書

西本願寺(浄土真宗本願寺派)、東本願寺、

東本願寺勅使門(各京都市)

 

8)石川県珠洲市の一真宗寺院

布教師の法話(節談説教、祖父江省念の最

後の弟子)

『恩徳讃』(親鸞作「正像末和讃」より)

の合唱

 如来大悲の恩徳は

 身を粉にしても報ずべし

 師主知識の恩徳も

 ほねをくだきても謝すべし

合掌「南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏、…」

 

9)夫が戦死した女性の家

農家、前項で参拝していた女性

仏間でインタビュー

 夫の額(肖像画)

  軍服 軍帽 鍔 顎紐 徽章 釦

  詰襟 勲章

 戦死者の院号法名 即成院、還生院、

 義烈院、顕忠院、浄土院、護国院など

 寺院の住職が考えて自坊の門徒に命名

朗読 親鸞作「正像末和讃」より


 かなしきかなやこのごろの

 和国の道俗みなともに

 仏教の威儀をもととして

 天地の鬼神を尊敬す

 


-後半-

10)関東地方放映の寺社祈願のCM等

水子供養 初詣で 厄除け 家内安全 交

通安全 神社での結婚式(石川県羽咋市・

気多大社) 地域の祭り(「皇国再建」の

文字)ほか地鎮祭、火入式等


11)皇居前広場

1988年9月23日 東京都千代田区千代田

昭和天皇の病気回復を祈る人々

正坐する「生長の家」の青年たち

坂下門前での一般記帳

訪れた人々の声

「君が代」を歌う茨城県から来た青年


12)加納実紀代さんのインタビュー

「君死にたまふことなかれ」

-旅順口包囲軍の中に在る弟を嘆きて-

(与謝野晶子『明星』1904年9月号に発表)


あゝおとうとよ君を泣く

君死にたまふことなかれ

末に生まれし君なれば

親のなさけはまさりしも

親は刃をにぎらせて

人を殺せとをしへしや

人を殺して死ねよとて

二十四までをそだてしや


君死にたまふことなかれ

すめらみことは戦ひに

おほみづからは出でまさね

かたみに人の血を流し

獣の道に死ねよとは

死ぬるを人のほまれとは

大みこゝろのふかければ

もとよりいかで思されむ

           (抜粋)


13)靖国神社とは

明治2年(1869年)5月、戊辰の役終結

明治2年(1869年)6月、東京招魂社鎮座、

 第1回合祀祭、合祀祭に併せて相撲奉納

 横綱小錦土俵入り、露払い逆鉾、太刀持ち朝汐(錦絵)


明治7年(1874年)1月、明治天皇が初めて

 東京招魂社に行幸

明治10年(1877年)2月、西南の役勃発

明治12年(1879年)6月、靖国神社に改称、

 別格官幣社に列せられる

明治15年(1882年)1月、軍人勅諭煥発

明治15年(1882年)2月、遊就館開館挙行

明治22年(1889年)2月、大日本帝国憲法

 発布

明治23年(1890年)10月、教育勅語煥発

明治23年(1890年)11月、第1回帝国議会

 召集

明治26年(1893年)2月、大村益次郎銅像

 竣工(日本初の本格的西洋式銅像)

明治27年(1894年)8月、日清戦争勃発


社号標 上部にあった「別格官幣」の文字

    の部分がGHQの命令で戦後、切断

    されている

大鳥居 高さ25メートル、鋼板、前の坂の

    真下から小学生の目線で撮影

    大村益次郎銅像(高さ12メートル、

    半身の構え、左手に双眼鏡、髷、

    佩刀、草鞋)の上半身が見える

拝殿前 一礼する神官、参拝者、掲示板(

    「戦死者の遺書」の文章)

遊就館 前と中にある展示物品

大鳥居前の坂 雨のなか黄色い傘をさし家

       路を急ぐ制服姿の小学生


14)国家の宗教政策

清国兵をくしざしにする日本兵(ビゴー画)

凱旋兵を迎える民衆、分捕品の絵と寺にあ

った鉄砲の弾(日清戦争)

天牌(「聖躬万歳」の文字、菊)と仏壇

「天牌奉安所」の記念碑、寺の住職が建立


15)加納実紀代さんのインタビュー(2)

戦前の小学校の国語教科書


16)英霊とその変遷

靖国神社神門で参拝する傷痍軍人、脱帽 


国民歌謡・『靖国の宮に』

 立山中尉(作詩者の部下・戦死)の母堂

 に打電す

  【靖国の宮にみ霊は鎮まるもをりをりか

     へれ母の夢路に】

 作詩 大江一二三(陸軍中佐)

 作曲 信時  潔(『海ゆかば』作曲者)

    歌    四家 文子 

 ラジオ(日本放送協会へ主婦の友社と内

 閣情報局が橋渡し)で歌声が流れる


『九段の母』(売上百万枚)

 作詩 石松 秋二

 作曲 佐藤 富房

 歌  塩 まさる


 一 上野駅から九段まで

    勝手知らないじれったさ

   杖を頼りに一日がかり

   せがれ来たぞや逢いに来た


 二 空をつくよな大鳥居

   こんな立派な御社に

   神とまつられ勿体なさよ

   母は泣けます嬉しさに


 三 両手掌せてひざまづき

   拝むはずみのお念仏

   ハッと気付いてうろたえました

   せがれ許せよ田舎者


 四 鳶が鷹の子うんだよで

   いまじゃ果報が身にあまる

   金鵄勲章がみせたいばかり

   逢いに来たぞや九段坂


社頭対面(『靖国の絵巻』陸軍省・海軍省

編纂-表紙題字・東條英機-から)

 同絵巻には画家の宮本三郎、藤田嗣治ほ

 かの作品が多数掲載されている


17)辰巳国雄さんのインタビュー

石川県小松市立波佐谷小学校にて

小松市安宅町生まれ、小学校教諭

当講座記事NO.12の執筆者

父親に赤紙召集令状、フィリピンで戦死

銃後 東京音楽学校女生徒たちの銃訓練

   実践高女の女生徒たちの薙刀訓練

   東京貯金局女性職員の銃剣術訓練

   慰問袋をつくる国防婦人会の人々

   教員、保母養成所を終了し靖国参拝

   をする戦争未亡人

   「無言の凱旋」(『主婦の友』1938

   年9月号口絵)

   軍事訓練を受ける永平寺の修行僧


18)箕面忠魂碑訴訟

各地の忠魂碑(すべての碑が将官の筆蹟)

箕面市立西小学校校門前の忠魂碑前で

古川佳子さんのインタビュー

 兄が戦死

 


19)靖国訴訟

福岡地裁前

 郡島恒昭さん(九州靖国訴訟原告団長)

 ほか

大阪地裁前

 和田洋一さん(同志社大学名誉教授・

 内村鑑三の義甥)ほか

神戸地裁姫路支部前

 藤元正樹さん(当ビデオ監修者)ほか


インタビュー

 尺一 顕正さん

 桑原 重夫さん

 世古  孜さん(元海軍特攻兵、フィリ

         ピンで不時着、負傷)

 金城  実さん(彫刻家、志願兵の父が

         戦死)

 脇坂 信子さん

 

靖国神社境内で『英霊にこたえる会』の

アンケート調査 襷

九段坂に集う右翼の人たち 車、旗、服、

腕章、靴、「日の丸」


20)自衛官合祀拒否訴訟

以下山口市内

陸上自衛隊山口駐屯部隊 訓練中

山口県護国神社(同駐屯部隊の真向かい)

同神社境内にある戦争記念碑(「戦争裁判

殉国烈士」の文字)

日本キリスト教団山口信愛教会で

インタビュー 

 中谷 康子さん

 矢吹 一夫さん

 「最高裁敗訴」の新聞記事見出し


21)神坂玲子さんのインタビュー

箕面忠魂碑前で


22)洪仁成さんのインタビュー

高槻市成合北の町の全景

高槻むくげの会設立メンバー

近くの山にある兵器工場(タチソ)跡

「官幣大社」朝鮮神宮 釜山の龍頭神社

サイパン神社


23)ルベン・アビトさんのインタビュー

上智大学にて

上智大学助教授

フィリピン・カトリック神父

虐殺されたフィリピンの人々

処刑する日本兵(撮影 毎日新聞従軍記者)

 著書に『解放の神学が問いかけるもの-

 アジアの現実と日本の課題』(山田経三

 氏との共著、女子パウロ会、1985) ほか


24)『英霊にこたえる会』一会員の

インタビュー

靖国神社境内で 幟

インパール作戦で生き残る


25)中村信さんのインタビュー

石川県根上町(現能美市)の自家田で

農家、元一兵卒、浄土真宗門徒

和田稠さん(当ビデオ監修者)に学ぶ

小松基地を飛び立つ戦闘機、同基地への

帰還


26)加納実紀代さんのインタビュー(3)

出撃前の特攻兵と上官の別れの杯

特攻兵の出撃を見送る知覧高等女学校の

生徒たち(1945.4.12・撮影 毎日新聞)

戦死者の空柩を軍から貰って来る、それ

を迎える近所の人々

特攻兵の絵・像(遊就館の展示品)

特攻兵と最期の面会をする母と弟


27)『戦友』を合唱する元第九師団兵士

NO.3の石川護国神社での合同招魂祭で

多くが浄土真宗門徒

式典後、来賓が帰ると立ち上がり全員で

『戦友』全歌詩14番まで懇ろに歌う

1905年、作詩・真下飛泉(明星派詩人)、

作曲・三善和気


空しく冷えて魂は

故郷へ帰ったポケットに

時計許りがコチコチと

動いてゐるもなさけなや


それより後は一本の

煙草も二人わけてのみ

ついた手紙も見せ合ふて

身の上ばなしくりかえし

             (抜粋)


参考

『戦友』を歌う嘉手苅林昌

嘉手苅林昌.大城美佐子 対談(当講座記事NO.170から)

https://www.youtube.com/watch?v=WULh6-wQy8A

2004.2.21 Nスペ、山之口貘


戦友  Wikipedia

(一兵卒の戦死と友情)

櫻井忠温 

 (『肉弾』の作者、夏目漱石の
     教え子)

大田実 

    (海軍沖縄根拠地隊司令官
               「海軍次官宛の電報」)

島田叡 

  (沖縄県知事、東大野球部出身、
       第1回全国中等学校優勝野球
       大会-夏の甲子園-にも出場)

牛島満

   (日本陸軍最後の大将、沖縄戦
       で第32軍を指揮)


28)夫が戦死した女性のインタビュー

NO.9の女性


29)エンディング

1987年8月15日の靖国神社拝殿前の

音と声

本殿で祝詞奏上のとき昇殿参拝遺族が悲涙

 嗚咽、慟哭、号泣、すすり泣き







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224. 天と地をつなぐ「おわらの風」

【2022年1月22日配信】   大寒           七尾市 石島 瑞枝             雪解けの春風を待つ坂の町               秋風 (2023.9.3)            横浜市 髙祖 路子    夜流しの音色に染まる坂の街                         鏡町地方衆、先人のご苦労をしのびその息吹に応える夜流し .  今町のおわら .      2023.9.3 最終日、西町青年団最終おわらの舞い .                               撮影 木偶乃坊写楽斎さん         〈参考〉                               越中八尾おわら風の盆               「深夜の夜ながし」      日本と日本人が失くしてしまった、  奪 われてしまった温かい心情、 郷愁  --それらを求めて各地から 数多の  見物者 が、 魅入られたかのように、  取りもどす か の ように八尾へ と 足を  運 ぶ の だろうか。  高橋治と石川さゆりの『風の盆恋歌』  の影響が大きいとも八尾ではいわれ  て いる。言葉と 歌の 力のすごさか。  事実、この 歌 の前と後とでは、風の  盆訪問 者 数に圧倒的な差がある。  紅白で、「命を賭けてくつ がえす」  と、着物の 袖 を 強く 握りしめ 揺さぶ  り ながらうた った 「くつがえす」の  一語の中に、日本の 歌手 として歩ん  できた 石川さゆりの、 自 らの心の奥  底にある深い 懐 いをも 包んだ 全 情念  が 込め ら れて い る。  旅人の多くが八尾に滞在してい る中、  わずかのさすがの通だけが、おわら  本来 の良 さ が漂っている深夜の夜流  し の、 後ろ姿を見ている。個性 ある  いで たちもすばらしい。  おわらは見せるものなのか、見られ  るこ とを意識すらせずに心ゆく まで  自ら楽しむものなのか。あるいはま  た、…… …… 高橋治と 石川さゆりは、  諸々のことを考える、見直すための  たいへ ん な「契機」 を 与 えて くれ た  ので ある 。    個人的な所感を述べれば、おわらは  縄文と江戸の文化が八尾で花開いた  ような気がする。  (当講座編集人)    鏡町の踊りに魅入

307. 職人の心意気 -「技」の文化 -

 【2023年7月3日配信】   手作りへのいざない    -「技」の文化-     縫い針のひとはりに込める夢  敦賀市 宮岸 かなえ                     てのひらに落ちる雨滴が灯をともす     鹿児島市 井上 治朗                        器(うつわ)  器への思い    九谷焼絵付師  宮保 英明         用という約束の形を提供しながら、その 形の中でどれだけ新鮮な自身の感覚を保ち 得るか、どんな可能性を引き出し得るか、 自身を試す姿勢で器と向かい合いたい。  自意識による変身、習慣のタガをはずし、 本来まったく自由に扱える創作表現への自 意識を、材質としての焼きものにぶつけた い。  盛られる料理に好かれる器。使いよくて 楽しくて、ついつい使ってしまう器。見た 目に静かで、しかし強い存在感を持ち、素 直に語りかけてくる。そんなものを心がけ てつくりたい。 みやぼ ひであき 20歳から絵付けをはじめる。 1950年石川県白山市生まれ。 石川県加賀市日谷(ひのや)在住。 日谷川をはさんで両側に民家と山が並ぶ。 谷間の村・日谷の向こうには人はいない。 宮保家の裏もすでに森である。 仕事をするのにいい場所をさがし歩き、 1984年の夏、白山市から引っ越してきた。 「ときどき熊が顔を出す」と妻の文枝さん。 小社発行・『北陸の燈』第4号より 撮影・八幡スタジオ 当講座記事NO.21、249再掲 当講座記事NO.223、「職」に関する記事から     芭蕉布ムーディー綾番匠くずし 平良 敏子   鋏 川澄 巌  文駒縫(あやこまぬい) 竹内 功   匠  足立区が誇る「現代の名工」    当講座記事NO.269、「世界屈指の技と清ら」から   流し猫壺 河井 寛次郎      「祖父寛次郎を語る」鷺 珠江さん     当講座記事NO.280、「湯の人(4)」から   樹 -卒業制作- 青木 春美     当講座記事NO.22、「織を通して学んだこと」から     絹本著色方便法身尊影  1500年製作      当講座記事NO.72、「松帆榭にて」から   千年の土 珠洲焼 篠原 敬    当講座記事NO.296、「あの日のこと」から     バンチェン土器   タイ・バンチェン遺跡     当講座記事NO.288、「個

328. ふるさとなまり

 【2024年1月28日配信】   おばばの言葉                       白山市 番匠 俊行                                私の両親は石川県石川郡美川町(現白山 市)に生まれ育ちました。両親のそれぞれ の両親も同町の生まれ、育ちです。除籍簿 を見ると、私の先祖は全員、明治初期から 同町の住人でした。  私は高校時代まで美川で育ち、そのあと 関東の大学を卒業し、宮城県内で就職し、 現在、郷里の美川で塾教師をしています。  私の祖母は1900年生まれで伝統産業 の美川刺繍をしていました。亡くなるまで 町から一歩も出たことがなく、町の人たち との会話を楽しみに生きていたようです。  その会話を耳にした一端をご紹介します。  美川町は手取川の河口の町で日本海に面 しています。作家の島田清次郎、詩人の邑 井武雄、政治家の奥田敬和、歌手の浅川マ キらの出身地でもあります。  「美川弁」といってもいい言葉は、隣町 の能美郡根上町(現能美市)や能美郡川北 村(現能美郡川北町)、石川郡松任町(旧 松任市、現白山市)ともちょっと異なって いると思います。  私は金沢市内の高校に通ったのですが、 私の話す言葉がおかしいと、いつも友人に 笑われていました。言葉だけで伝えるのは 難しいのですが、動詞、形容詞、形容動詞 のエ音便がイ音便になったり、また、人名 や名詞の発音のアクセントや抑揚、強弱、 長短が独特みたいです。  鹿児島弁が混じっているのではないかと 言う人もいます。もしそうであれば、最初 の石川県庁が美川町に置かれたことと関係 しているのかもしれません。内田政風とい う薩摩藩士がトップとなりはるばるこの町 にやって来たと聞いています。ひょうきん な美川の人たちが薩摩から来た役人たちの 言葉をおもしろがって真似して、流行らせ、 それがそのまま一部根づいたのではないか と思ったりもしています。  内田はなぜか金沢県とすることを拒否し、 県名を石川郡から拝借して石川県にし、さ らに「美川県」にとまで県名をかえようと したと聞きます。石川県はあわや美川県に なっていた可能性もあったということです。  これはこれでおもしろい話ですが、内田 は、美川町を中心にした金沢以上の新たな 県都を、白山を源として流れる県内最大の 河川・手取川(石川)を

311. レジェンド記者、真実を追う

 【2023年8月2日配信】小社発信記事      木原事件、ジャニーズ事件、 松本VIP事件、 自民裏金脱税事件、政治、ジャーナリズム                      佐藤章 さんの発言とともに考える            尾崎豊『ダンスホール』1984.3.15  東京新宿RUIDO 浅 川マキ/ ライブ夜 1977.11.19 京大西部講堂 桃山晴衣『遊びをせんとや生まれけん』 最新順 ジャニーズ・松本VIP事件、震災その他記事 当講座記事NO.320 2024.3.6 谷本誠一さん、中川秀直衆議秘書時代を語る 広島県前呉市議(6期)の谷本さんが 高校生の インタ ビューに応えてパー券販売、地盤培養活動などを話す。 撮影 2023.8.3 2021.5.21 佐藤章さんスクープ解説動画 第二次安倍内閣安倍晋三首相退陣の真相 木原事件を考える 2023.8.2 志あるジャーナリストへの呼びかけ .  2023.8.20 黒澤明『天国と地獄』仲代達矢の圧巻の台詞 .                       「被害者・遺族の無念を晴らす。これが刑事の仕事」     佐藤誠元刑事記者会見 2023.7.28 コロンボ、安浦吉之助、 十津川省三、杉下右京をしのぐ 佐藤誠さん の 言葉。「 日本の心」はまだまだ生きている。 同時に加害者側の動機、心情も併せて理解すべきである。 日本の歴史、社会、政治を変える日本史上最高記者会見                    2023.8.8 真犯人 Z氏と木原氏の人生を考える 2023.8.17 事件当日の Z 氏の行動を考察する 2024.8.24 民主主義の岐路.検察再捜査の動き    2029.8.30 事件のもみ消しを決して許してはならない    2023.8.31 事件を報道しない既存のメディアへの怒り                                                     文春報道によれば、2006 年 4月 9日の 午後10時ごろに東京都内で安田種雄さんと いう方が殺されたが自殺とされた。そして 2018年春に捜査が再開されたが、本格的な 捜査に入ろうとした矢先の同年10月下旬に 捜査が突然打ち切られた。  この事件の捜査に当たった警視庁元刑事 の佐藤誠さんが、先月28日

327. 能登はやさしや土までも

 【2024年1月8日配信】          お金から「いのち」の時代へ(10)             たくましくやさしき能登に光させ                    2024年3月11日              気仙沼市 菅野 千鶴子                              二隻だけでは足りない話にならない      被災者全員を救う方法を考えるべき    「五百年のひびき」   「日々是稽古」 .        輪島名舟の人たちへのインタビュー .    当講座記事NO.318 世界に範たる日本国になるには 強震モニタ .    地震情報 .                           緊急に避難所の設備充実を          大地震から一週間たった今、改めて 以下の記事を再掲します。   日本海側の原発の現況が気になります。  当講座記事 NO.296と 297で珠洲原発  のことに言及しました が、珠洲原発が  建設されていたらこの地震で日本列島  と朝鮮半島には人が住めなくなってい  たのではないでしょうか。珠洲原発を  絶対に安全だと主張して推進していた  関 西 電力、中部電力、北陸電力、経産  省、政府は 謝罪声明を出すべきだと思  います。    震災被災者の避難先に下記写真のように  ビニールハウスが何箇所かありました。  ここは個人や隣近所で自主的に避難した  場所だと思います。ビニールハウスは、  地震に強いのではないでしょうか。    また、私は高校時代、山岳部で部活動を    していたのでその経験からすれば、冬用    テント、ツエルト、シュラフ、ヤッケ、  ポンチョ、コッフェル、ラジウスなどの  山岳装備を キ スリングに入れておき、 か  つ、テントの張り方、炊事の仕方を日頃  から練習し、いつでも野営に備えていた  らいいのではないかと思いました。  もっともこれらに相当する準備は、国、  県、市町 村の首長や各議員が、常日頃か  ら個人の人権とプライバシーに心配りを  したうえで、率先してしなければならな  い極めて重要な政治の仕事であると思い  ます。特に今現在おこっている震災は、  何年も前から充分に予測できたことだけ  に、最低でも上記の準備だけはできたは  ずです。「残念」とか「遺憾

266. 混迷する現代と統一協会 

【2022年8月28日配信】        親友ヨッチにささげる手記          -最期まで友情を信じて-                  石川県河北郡津幡町                 書店員 22歳  酒井 由記子  人は、どんな人と巡り合うか、どんな本 と出会うかによって人生が決まってくると、 ある作家が述べていたのをふと思い出す。 私にとってはまさにそうであった。出会っ た人達も書物もとても大きな影響を残し、 忘れられない出来事となっていったのであ る。   一、高校生の頃  今から六年前(1977年)、私は金沢 二水高校の二年生であった。いや二年生と いうより吹奏楽部生というほうが適切であ るほど私は部活動に情熱を注ぎ込んでいた。 みんなでマラソン、腹筋運動をしてからだ を鍛えあげ、各パートごとでロングトーン をして基礎固めをなして、全員そろって校 舎中いっぱいに響きわたるハーモニーを歌 いあげる。それは、先輩、後輩、仲間達の 一致によって一つの音楽をつくり出すとい う喜びを存分に味わった私の青春時代の真 っ盛りであった。ただ残念なことは、部活 動に熱中すればするほど勉強のほうはさっ ぱり力がはいらなかったことである。中学 生のときは、「進学校にはいるために」と いうただそれだけの目的で受験勉強ができ た。しかし、いざ高校にはいってみると、 また「いい大学にはいるために」と先生方 が口をすっぱくして押しまくる文句に素直 になれなかった。勉強する本当の意味が見 出せなかったのである。その頃から、私は 人間は何のために生きるのだろうかという ことまで突っ込んで考えるようになってい った。  父母が書店を経営しているため本は充分 にあり、書物を読むことによって答えを見 出そうとした。私の強い求めに応じるかの ように一冊の本が転がり込んできた。クリ スチャン作家である三浦綾子さんの『あさ っての風』という随筆集であった。聖書の 言葉がそこに登場しており、それはズシリ と心に響いたのである。その本に魅せられ て三浦さんの自叙伝も何冊か読み進めてい った。しだいに私の魂は、人間をはるかに 越えた大いなる存在があることを感じてい った。確信までは至らなかったけれども、 それらの本によって金沢のプロテスタント の教会に足を運び、牧師さんのお話を聞く ようにもな

272. 「命」の新文化創造の世へ

【2022年10月4日配信】        学級通信「あいこでしょ」の願い                       小松市立稚松小学校              教諭 辰巳 国雄                                                                   題字 井上碧山さん (北九州市)         絵  本多千鶴子さん(金沢錦丘高校1年) 薪を負いて名定まる  背負い歩き考える二宮金治郎  ロダンの『考える人』よりもりっぱに思える 損得から尊徳の世へ 当講座記事NO.314 山下秀美、哲学の時代へ 同266 酒井由記子、混迷する現代と統一協会 同294 小原基子、おんな川にかかる橋 同303 今野ゆうひ、教え子を再び何処へ送るのか 同318 髙森文子、世界に範たる日本国になるには  学級文集とか、学級通信とか、学級機関 紙 といわれるもの を発行することを、教師 の仕 事の軸の一つに して実践を積み重ねて いる人 がずい分多いと 思う。  私は、学級通信(学級文集・学級機関紙 も 含めて)を発行してから、もう三十年近 くに なる。あるときは季刊であったり、月 間であ ったり、週刊であったり、日刊であ ったり、 その形はさまざまである。その一 年、一年で 形も異なり、内容も変わってき ている。大ざ っぱな言い方をすれば次のよ うになるだろう。  子どもたちの生活のなかみや、思いや考 え を、本音のところで知りたい。それは、 話す ということででもできるかも知れない が、数 十人の学級の子どもたち全員の本音 を知るこ とはむずかしい。話すことの不得 手な子でも 書くことによって本音を語って くれるだろう。 また書くことによって、さ らに、自分の生活 や、思いや考えを、見つ め直すことになり、 印刷されたものを通し て、学級のみんなの共 通の認識を得られる だろう。共通の認識を持 った学級集団(子 どもたち)は、それをステ ップに、学級集 団の文化を創り上げていく力 にするだろう。  これが、私の教育の大きな柱だった。こ う して始めた学級通信発行の仕事は、子ど もた ちの全面発達を願う私の教育実践のそ のとき そのときの証しともなるものになっ た。学級 通信が発行できなくなるというこ とは、私と 子どもた

280. 湯の人(4)現実と夢

 【2022年11月22日配信】   大きな便り                       加藤 蒼汰          秋とはいっても冬のような寒い夜だった。 浴室にはだれもおらず、脱衣場には番台に 座っている銭湯の主人と私ともうひとり。  その人は銭湯の近所の人であり、かつて 高校の教員をしていた。在職当時、馳浩・ 現石川県知事を教えていたと語っている。 八十歳を超えている。  この銭湯でよく顔を合わせ、会うたびに 知事の高校在学中のエピソードを繰り返す ので、私はその話の内容をすっかり諳んじ られるようになってしまった。高校入学時 から卒業までの様子、レスリング部での活 躍などであるが、私が特に感銘を受けた話 は、知事は高校時代、冬、雪が降り積もっ た朝には真っ先に早出登校して、生徒・教 職員を思いやり、校門から校舎玄関入り口 までの路をひとりスコップで雪かきをして いたというくだりである。  そんなすばらしい教え子をもつ元先生が、 服を脱ぎ裸になって浴室入り口に向かって 五、六歩あるきながら大便を三個落とした のである。気づかずに落ちたようなので、 私は「先生、落としもの」と声をかけると、 「ありりー、まったく気いつかんかった。 あはははは」と笑うのである。  私は、脇にあったチリトリでこの塊をす くいとり、「みごとな色と固さやね」と言 いながらトイレに流した。しかしながら、 脱衣場にはその匂いが全面に沁みわたり、 息が苦しくなるほどだった。このとき私は、 幼いころサーカスを見たときのことを思い だした。  それは曲芸をしていた象が巨大な大便の 塊を三個落とし、団員があわててスコップ で拾いあげていた光景であった。このとき の衝撃の記憶がよみがえり、私にとっさに チリトリを思いつかせたような気がする。 本を読んでいた番台の主人もその匂いで事 のいきさつに気づき、「匂いもすばらしい ね」と笑いながら脱衣場の窓を全開し床を 雑巾でふいてくれたが、その強力な匂いは 容易に消えなかった。  その間、先生は先に浴槽へ入り、気持ち よさそうに浸かっていた。私は先生と湯壺 にいっしょに漬かることに一瞬躊躇したが、 免疫機能が高まるまたとないチャンスでは ないかとの思いも何ゆえか突然こみあげて きて湯船に同席、お伴したしだいである。  「よくあることなんけ」と湯中、思わず

275. スポーツを文化にするために

【2022年10月10日配信】     交驩のエール     花開きつつあるエンジョイベースボール    「学生野球考」          慶應義塾大学野球部監督                   前田 祐吉      「サード!もう一丁!」「ヨーシこい」 と いう元気な掛け声の間に、「カーン」と いう 快いバットの音がひびくグラウンドが 私の職 場である。だれもが真剣に野球に取 り組み、 どの顔もスポーツの喜びに輝いて いる。息子 ほどの年齢の青年たちに囲まれ、 好きな野球 に打ち込むことのできる私は、 つくづく、し あわせ者だと思う。  学生野球は教育の一環であるとか、野球 は人間形成の手段であるということがいわ れるが、私の場合、ほとんどそんな意識は ないし、まして自分が教育者だとも思わな い。どうしたらすべての野球部員がもっと 野球を楽しめるようになるのか、どうした らもっと強いチームになって、試合に勝ち、 選手と喜びを共にできるのか、ということ ばかり考えている。  野球に限らず、およそすべてのスポーツ は、好きな者同志が集まって、思いきり身 体を動かして楽しむためのもので、それに よって何の利益も求めないという、極めて 人間的な、文化の一形態である。百メート ルをどんなに早く走ろうと、ボールをどれ だけ遠くへカッ飛ばそうと、人間の実生活 には何の役にも立たない。しかし、短距離 走者はたった百分の一秒のタイムを縮める ために骨身をけずり、野球選手は十回の打 席にたった三本のヒットを打つために若い エネルギーを燃やす。その理由は、走るこ とが楽しく、打つことが面白いからにすぎ ない。さらにいえば、より早く走るための 努力の積み重ねが何物にも替えがたい喜び であり、より良く打つための苦心と練習そ のものに、生きがいが感じられるからであ る。  このように、スポーツは余暇を楽しみ、 生活を充実させるための手段で、それ以外 には何の目的もないはずである。むしろ目 的のないことがスポーツの特徴であり、試 合に勝つことや良い記録を出すことは、単 なる目標であって終局の目的ではない。  かつて超人的な猛練習でスピードスケー ト の王者といわれ、冬季オリンピックの金 メダルを独占したエリック・ハイデンは「 金メダルは私の人生の目的ではない。それ に至るプロセスの喜びが私
         柿岡 時正
         廣田 克昭
         酒井 與郎
         黒沢  靖
         神尾 和子
         前田 祐吉
         廣田 克昭
         伊藤 正孝
         柿岡 時正
         広瀬 心二郎
         七尾 政治
         辰巳 国雄
         大山 文人
         島田 清次郎
         鶴   彬
         西山 誠一
         荒木田 岳
         加納 韻泉
         沢田 喜誠
         島谷 吾六
         宮保 英明
         青木 晴美
         山本 智美
         匂  咲子
         浅井 恒子
         浜田 弥生
         遠田 千鶴子
         米谷 艶子
         大矢場 雅楽子
         舘田 信子
         酒井 由記子
         酒井 由記子
         竹内 緋紗子
         幸村  明
         梅  時雄
         家永 三郎
         下村 利明
         廣田 克昭
         早津 美寿々
         木村 美津子
         酒匂 浩三
         永原 百合子
         竹津 清樹
         階戸 陽太
         山本 孝志
         谷口 留美
         早津 美寿々
         坂井 耕吉
         伊佐田 哲朗
         舘田 志保
         中田 美保
         北崎 誠一
         森  鈴井
         正見  巖
         正見  巖
         貝野  亨
         竹内 緋紗子
         滋野 真祐美
         佐伯 正博
         広瀬 心二郎
         西野 雅治
         竹内 緋紗子
         早津 美寿々
         御堂河内 四市
         酒井 與郎
         石崎 光春
         小林 ときお
         小川 文人
         広瀬 心二郎
         波佐場 義隆
         石黒 優香里
         沖崎 信繁
         山浦  元
         船橋 夕有子
         米谷 艶子
       ジョアキン・モンテイロ
         遠藤  一
         谷野 あづさ
         梅田 喜代美
         小林 ときお
         中島 孝男
         中村 秀人
         竹内 緋紗子
         笠尾  実
         前田 佐智子
         桐生 和郎
         伊勢谷 業
         伊勢谷 功
         中川 清基
         北出  晃
         北出  晃
         広瀬 心二郎
         石黒 優香里
         濱田 愛莉
         伊勢谷 功
         伊勢谷 功
         加納 実紀代
         細山田 三精
         杉浦 麻有子
         半田 ひとみ
         早津 美寿々
         広瀬 心二郎
         石黒 優香里
         若林 忠司
         若林 忠司
         橋本 美濃里
         田代 真理子
         花水 真希
         村田 啓子
         滋野 弘美
         若林 忠司
         吉本 行光
         早津 美寿々
         竹内 緋紗子
         市来 信夫
         西田 瑤子
         西田 瑤子
         高木 智子
         金森 燁子
         坂本 淑絵
         小見山 薫子
         広瀬 心二郎
         横井 瑠璃子
         野川 信治朗
         黒谷 幸子
         福永 和恵
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         秋山 郁美
         加藤 蒼汰
         森本 比奈子
         森本 比奈子
         吉村 三七治
         石崎 光春
         前田 佐智子
         前田 佐智子
         前田 佐智子
         前田 佐智子
         中野 喜佐雄
         八木  正
         堀  勇蔵
         家永 三郎
         広瀬 心二郎
         菅野 千鶴子
         海野 啓子
         菅野 千鶴子
         海野 啓子
         石井 洋三
         小島 孝一
         キャリー・マディ
         谷本 誠一
         宇部  功
         竹内 緋紗子
         谷本 誠一
         酒井 伸雄
163、コロナ禍の医療現場リポート
         竹口 昌志
164、この世とコロナと生き方を問う
         小社発信記事
165、コロナの風向きを変える取材
         橋本 美濃里
166、英断の新聞意見広告
         小社発信記事
167、ワクチン接種をしてしまった方へ
         小社発信記事
168、真実と反骨の質問
         小社発信記事
169、世論を逆転する記者会見
         小社発信記事
170、世界に響けこの音この歌この踊り
         小社発信記事
171、命の責任はだれにあるのか
         小社発信記事
172、歌人・芦田高子を偲ぶ(1)
         若林 忠司
173、歌人・芦田高子を偲ぶ(2)
         若林 忠司
174、歌人・芦田高子を偲ぶ(3)
         若林 忠司
175、ノーマスク学校生活宣言
         こいわし広島
176、白山に秘められた日本建国の真実
         新井 信介
177、G線上のアリア
         石黒 優香里
178、世界最高の笑顔
         小社発信記事
179、不戦の誓い(2)
         酒井 與郎
180、不戦の誓い(3)
         酒井 與郎
181、不戦の誓い(4)
         酒井 與郎
182、まだ軍服を着せますか?
         小社発信記事
183、現代時事川柳(六)
         早津 美寿々
184、翡翠の里・高志の海原
         永井 則子
185、命のおくりもの
         竹津 美綺 
186、魔法の喫茶店
         小川 文人 
187、市民メディアの役割を考える
         馬場 禎子 
188、当季雑詠
         表 古主衣 
189、「緑」に因んで
         吉村 三七治 
190、「鶴彬」特別授業感想文
         小社発信記事
191、「社会の木鐸」を失った記事
         小社発信記事
192、朝露(아침이슬)
         坂本 淑絵
193、変わりつつある世論
         小社発信記事
194、ミニコミ紙「ローカル列車」
         赤井 武治
195、コロナの本当の本質を問う①
         矢田 嘉伸
196、秋
         鈴木 きく
197、コロナの本当の本質を問う②
         矢田 嘉伸
198、人間ロボットからの解放
         清水 世織
199、コロナの本当の本質を問う③
         矢田 嘉伸
200、蟹
         加納 韻泉
201、雨降る永東橋
         坂本 淑絵
202、総選挙をふりかえって
         岩井 奏太
203、ファイザーの論理
         小社発信記事
204、コロナの本当の本質を問う④
         矢田 嘉伸
205、湯の人(その2)
         加藤 蒼汰
206、コロナの本当の本質を問う⑤
         矢田 嘉伸
207、哲学の時代へ(第1回)
         小社発信記事
208、哲学の時代へ(第2回)
         小川 文人
209、コロナの本当の本質を問う⑥
         矢田 嘉伸
210、読者・投稿者の方々へお願い
         小社発信記事
211、哲学の時代へ(第3回)
         小社発信記事
212、哲学の時代へ(第4回)
         小社発信記事
213、小説『金澤夜景』(2)
         広瀬 心二郎
214、小説『金澤夜景』(3)
         広瀬 心二郎