市民メディアの役割を考える
【2021年8月31日配信 NO.187】
NPO法人市民メディアこいわし広島
馬場 禎子
メディアって何?
「メディア」とは、主に「情報伝達を媒
介する手段」あるいは「情報伝達の媒介者」
という意味合いで用いられる語といわれる。
「マス・メディア」とは不特定多数の大
衆に向けて情報を発信するメディアの総称
である。一般的には新聞・テレビ・雑誌・
ラジオの4媒体を指す。
とある。(weblio辞書参照)
近年台頭著しいオンラインメディア(イ
ンターネットメディア)は第5のメディア
と呼ばれるようです。
その「メディア」に対する信頼性はとい
うと、私の周囲の多くの方のご意見は、「
テレビのニュースで流れているからそれに
間違いはないだろう」「新聞に出ていたか
らそれが本当だろう」です。何の疑いもも
っていない方が多数いらっしゃいます。
特にこの傾向は、年齢が上がるにつれて
強いように感じます。おそらく、インター
ネットなどのツールを使いこなす機会が乏
しい故と思われます。では、本当にテレビ
や新聞から流れる情報が、噓偽りなく真実
を報道しているのでしょうか?
その疑問をもったからこそ、私は「市民
メディアこいわし広島」に入会しました。
テレビや新聞による情報が、インターネ
ット上にあがる情報と大きく相違している
ものも多くみられます。勿論、インターネ
ット上の情報にも、玉石混淆で、疑わしい
ものが多数含まれているのも事実です。
しかし、事件や事故の際、現場の細やか
な状況が市民からの投稿で明らかになると、
大手マスコミの報道とは異なっていたりす
ることもしばしば。業界の報道協定や、倫
理規制によるところも大きいとは思います
が、はたして、原因はそれだけなのでしょ
うか?
昨今のコロナ報道を見ていると、ますま
すその疑問が強くなります。一般市民の私
でさえ疑問に思う点を、一切マスメディア
が追求しない。PCR検査陽性者数を感染者
数として報道していることなど、そのいい
例です。この二つは同義ではありません。
全国ネットのキー局になっているテレビ
局が、クライシスアクターと呼ばれる俳優
や所属のアナウンサーを使ってニュース映
像をつくっていたり、時期の違う映像を「
今の状況」として映像で流す。その間違い
を指摘されると、後日、簡単なお詫びの言
葉で済まされてしまうのが今の日本のテレ
ビの現状です。
新聞も、大きく紙面を割いて掲載した記
事の情報が間違っていた際、訂正はほんの
小さな訂正記事を隅っこに掲載するだけで
す。間違った情報の与える影響のほうが大
きいであろうと思われるケースでもです。
ジャーナリストとしての誇りは消え去って
しまったのでしょうか。
海外からの情報映像の提供元が各テレビ
局ともに同じであったり、参考に出される
資料が一つの大学の集計によるものであっ
たり。
「海外ではこんなに病院が患者であふれ、
医療が逼迫しています」とテレビで流され
たニュース映像に対して、現地の市民レポ
ーターが同じ病院を撮影し「実際の病院の
状況はこうです」とインターネット上に流
した映像では、実に閑散として平静で、ど
こがパンデミックなのだと疑問を抱かざる
をえません。そのようなつくられた映像を
平気で放送するのです。
昔から情報操作は行われてきたでしょう。
しかし、このコロナ禍での情報はあまりに
偏り、ある意味、戦時下の情報統制・情報
操作と似た感じを受けるのは私だけでしょ
うか。
おかしいことをおかしいと指摘し、マス
メディアと違うことを発信すると、それが
いかに論理的であっても、かき消されてし
まう。テレビのコメンテーターが、スポン
サーの意に反する発言をするとすぐに降板
させられていたり、収録番組では、都合の
悪い発言部分はカットされて放映からは消
えているのがそのいい例です。
実際に出演者からそういう状況を聞く機
会もあり、情報操作の感はぬぐえません。
視聴率重視、スポンサーへの忖度重視の報
道で、真実を伝えられるのでしょうか。
本来、一般市民が求めているのは、真実
の情報のはずです。少なくとも市民メディ
アこいわし広島に参加している方々は、そ
うだと思っています。
真実を知りたいけれども、大手マスメデ
ィアからの情報には少なからず疑問を抱い
ているであったり、自分の知りえた真実を
多くの方に知らせたいであったり。そうい
う気持ちをもって参加されていると感じて
います。
「食・農業・教育・医療・環境、輝く未
来の子供たちのために市民が一体となって
真実の情報を伝えよう!」
これが、市民メディアこいわし広島の掲
げるテーマです。
市民一人一人が知りえる情報は小さなも
のですが、それをつなぎあって、世の中で
起きていることの真の姿をとらえる。一匹
一匹は小さな「こいわし」だけれど、たく
さんのこいわしが群れて大きな魚の補食か
ら身を守るように、人や情報をつなぎあい、
広げて、自分と大切な人の暮らしを守る。
より良い形で次世代にバトンタッチしてい
く。そんな活動が今こそ必要だと痛感して
います。
生まれた時からインターネットやスマホ
が手元にあり、学校でもタブレット端末を
使っての授業や、コロナ禍でのリモート学
習が日常化している若者のような、スピー
ディな発信とはなかなかいきませんが、大
切な真実の情報を発信し続け、情報弱者を
つくらないよう、オンラインでもリアルで
も、活動を通してはたらきかけていきたい
と思っています。それが、今だからこそ必
要な「市民メディア」の役割でしょう。
日本の各地で、同じような市民メディア
の活動・市民がつながる活動が生まれてい
ます。それが大きな波紋となって広がって、
多くの方に真の情報が伝わっていくことを、
切に願っています。
市民メディアこいわし広島では、各種講
演会の開催、インタビュー動画の配信、市
民の参加できる体験イベント開催などをし
ています。詳しくはNPO法人こいわし広
島のホームページでご確認ください。
ホームページURL koiwashi.jp
〈以下参考〉
市民メディアこいわし広島
ホームページ
市民メディアこいわし広島
馬場禎子さんへのインタビュー
医療と農業の現状そして望む未来の姿
〈後記〉
当講座の NO.164と 175の記事に、
馬場禎子さんが司会をされている
「市民メディアこいわし広島」の
関連動画があります。