【2022年10月4日配信】 題字 井上碧山さん (北九州市) 絵 本多千鶴子さん(金沢錦丘高校1年) 学級通信「あいこでしょ」の願い 小松市立稚松小学校 教諭 辰巳 国雄 学級文集とか、学級通信とか、学級機関 紙 といわれるもの を発行することを、教師 の仕 事の軸の一つに して実践を積み重ねて いる人 がずい分多いと 思う。 私は、学級通信(学級文集・学級機関紙 も 含めて)を発行してから、もう三十年近 くに なる。あるときは季刊であったり、月 間であ ったり、週刊であったり、日刊であ ったり、 その形はさまざまである。その一 年、一年で 形も異なり、内容も変わってき ている。大ざ っぱな言い方をすれば次のよ うになるだろう。 子どもたちの生活のなかみや、思いや考 え を、本音のところで知りたい。それは、 話す ということででもできるかも知れない が、数 十人の学級の子どもたち全員の本音 を知るこ とはむずかしい。話すことの不得 手な子でも 書くことによって本音を語って くれるだろう。 また書くことによって、さ らに、自分の生活 や、思いや考えを、見つ め直すことになり、 印刷されたものを通し て、学級のみんなの共 通の認識を得られる だろう。共通の認識を持 った学級集団(子 どもたち)は、それをステ ップに、学級集 団の文化を創り上げていく力 にするだろう。 これが、私の教育の大きな柱だった。こ う して始めた学級通信発行の仕事は、子ど もた ちの全面発達を願う私の教育実践のそ のとき そのときの証しともなるものになっ た。学級 通信が発行できなくなるというこ とは、私と 子どもたちとの歩みが止まるこ とである。た だ子どもたちの作文や詩を書 いていくだけで はなく、教師としての自分 と子どもたちとの かかわりや、私の思想を も反映させた学級の 歩みを学級通信の中に 定着させていくことだ った。それは、一時 間一時間の授業を最高に 充実させるという きびしい仕事に支えられて のみ続けられる 仕事ということであった。日 刊の学級通信 は、こんな一つの証しであると 思った。 今年の学級機関紙「あいこでしょ」は、 不