今を生きて思うこと
【2020年12月4日配信 NO.79】
石川県羽咋郡押水町(現宝達志水町)
保母 梅田 喜代美
日本は高齢化社会をむかえ、医療問題をは
じめとした様々な行政のひずみが表面化して
きている。いったい我々は何をすべきか……。
現状を嘆いてばかりもいられない。ささやか
なことでもいい、何か行動をおこさねば……。
戦争を知らぬ親に育てられ、核家族の中で
成長した子どもたちに高齢者との交流の場を
設けないで、はいお年寄りをいたわりなさい
といっても、はたしてどの程度まで思いやり
を見せてくれるだろうか……。
家族の中で「うやまい」の心を育てること、
それにはまず、家庭の中心となるお母さんが
明るくはつらつとしていて、夫や両親を大切
にする人でなければならない。私はまずお母
さんの心身をリフレッシュすることからはじ
めようと、サークル作りにとりかかった。
同志の中に学生のころダンスをやっていた
人がいて、ジャズダンスからはじめてみよう
かということになり、十五人でスタートした
「すみれ会」の会員が、回を重ねるごとに増
えて二十人を越える人数になった。
他人(ひと)との交流の中で、ある時は世
間の本を読み、またある時は世間の出来事を
話し合い考えを述べ合い、そして自分を知り、
相手の立場を思いやる柔軟な心を育てること
が目下の目標である。
この「すみれ会」が育ったら、子どもたち
を中心にした演劇活動をしてみたいというの
が私の夢である。
子どもたちの天性の演技力は、昨年までの
子供会活動を通して実証済みである。それを
埋もれさせず充分生かせるような活動ができ
れば、高齢者と子どもの交流の場が生まれる。
単に慰問だけでなく共演などをすれば、子ど
もには「学習の場」、高齢者には「生きがい」
にもなりえよう。
こうしたサークルの広がりが高齢者理解へ
のパイプ役となってくれればと、ささやかな
願いをもっているのだが、如何なものだろう
……。
歩きだした道である。夢をひとつひとつ実
現させるべく、会員たちとともにがんばって
いこうと思う。
小社発行・『北陸の燈』第4号より