学校のきまり
【2020年12月18日配信 NO.87】
石川県加賀市立片山津小学校6年
伊勢谷 業
人は、お守りやお札や神だのみのような迷
信を信じますが、どうして、そんなことを信
じるのか、ぼくにはわかりません。幸せとい
うものは、さい銭箱にお金を入れて、手をた
たいてもぜったいにやってきません。もし、
何かが願いどおりになったとしても、それは
単なる偶然で、おいのりをしたせいではない
でしょう。幸せというものは、神様かだれか
が配給してくれるものではありません。
これは、ぼくの通っている学校で、毎年行
なわれることですが、プール開きの時、プー
ルに塩や酒をまいて、「今年一年、事故のあ
りませんように」と言っておまじないをしま
す。でもプールに塩や酒をまいて、水泳がう
まくなったり、おぼれないようになったりす
るのなら、水泳の練習なんかしないで、みん
ながプールに塩と酒をまけばよいと思います。
そんなことをしていれば、いつまでたっても
泳げない人は泳げるようにはなりません。む
しろこんなことを学校で教えなければならな
いのに、学校で間違ったことを教えれば、み
んながそれを信じてしまいます。
ぼくが今年行く中学校は、頭を丸刈りにし
なければなりません。ぼくは、髪を切りたく
ありません。友だちの中にも何人かそのこと
で悩んでいる人がいます。なぜ丸刈りにしな
ければならないのか。ぼくは、ぜんぜん意味
がないと思います。丸刈りにしているのは、
兵隊とヤクザとお坊さんぐらいです。ぼくの
お父さんは、お坊さんですが、髪をのばして
います。小学生も高校生ものばしています。
一生のうちで中学校の三年間だけ丸刈りにす
ることに、どんな意味があるのでしょうか。
ぼくのお姉さんは、短い髪をして、いつも
お母さんに小言を言われています。でもお姉
さんは、「これが好きだから」と言っていま
す。お母さんは短い髪がきらいなようですが、
けっきょくは、本人の好きなようにさせてい
ます。髪を切りたくない友だちの中にも、学
校からばかりでなく、両親からもせめられて、
いやいや髪を切った人がいます。男はもちろ
んのこと、女の子にも、ひざまであった髪を
オカッパにした人がいます。親が髪を短くさ
せる理由は、自分にそんな考えがあるのでは
なくて、学校できまっているからということ
です。けっきょくは、親も、学校の側につい
てしまって、本人の味方をしてくれません。
「男は丸刈りにせよ」という考えの人に質
問して、いろいろ説明も聞きましたが、なっ
とくのできるものは、ありませんでした。ぼ
くは髪を切るつもりはありません。意味もな
いのに「学校のきまりだ」とかなんとか言っ
て、切りたくない人の髪をむりやり切らせる
ことには、ぜったいに反対です。切りたくな
い人は、切らなくてもいいと思います。そん
なに丸刈りが立派なことなのならば、まず先
生方が自分の髪を切ればよい。人の髪型に文
句をつける権利はないと思います。これでは
「なっとくできなくても、とにかく言われた
とおりにせよ」ということを教えることにな
ってしまうのではないのでしょうか。
中学校には大ぜいの先生方がおられるので、
きっとぼくの意見を考えてくださる先生もあ
るにちがいないと思います。
小社発行・『北陸の燈』第3号よリ
〈参考〉
当講座NO.6、86、88、107の記事も併せて
参照していただきたい。