止揚の詩
【2020年7月9日配信 NO.4】
富山県黒部市 会社員 黒沢 靖
二十数年間、立込めていた霧がうすれ
全く異なる世界をかいま見たとき
私はすでに病におかされていた。
そしてこの恣意的な世界への
訣別を意識した時
それは不治の病であることを知った。
天と地の真赤に燃え立った炎に包まれて
私はたった一人で
流沙をさまよっているのだ。
そこにはいくつかの人骨があり
それが真実への道しるべであることに
勇気づけられ
病であることも忘れ
彷徨しているのである。
そうする以外いかなる人生も
虚ろな光さえ放たないのだ。
小社発行・『北陸の燈』創刊号掲載