人間の自由とは?
【2020年9月21日配信 NO.23】
福井県鯖江市 会社員 山本 智美
私はいま、ある会社の事務員として働いて
いますが、就職してはじめて、男女平等とは
学生時代のはかない夢であり、女の自立とか、
ウーマン・リブといったことも掛け声だけで
あることを知りました。そこには男性だけの
動かしがたいタテ社会があり、女性の出る幕
は皆無に等しいものです。さらに驚いたこと
には、ほとんどの女性がそのことを甘受して
いることでした。
私は、男まさりになって男性と対等に張り
合いたいと思っているのではありません。女
性には女性であることの誇りや持ち味がある
と思いますし、その特性を生かした持ち場、
職域、職種等がほとんど与えられていないこ
とが残念なのです。
また、私の見た男性社会は、おとなしい人
や謙虚な人を蹴落とし、声の大きい人や小賢
しい人間だけがのさばる競争社会?であり、
そこにはコネやゴマすりといったものが横行
し、他人が自分と同じレベルでないと落ちつ
かない、嫉妬深くて小心な人間集団があるの
です。
このような人間関係がどうして成り立つの
か不思議に思いますが、私たちの住んでいる
社会に、ほんとうの自由がないから、あるい
は私たちが自由を知らないからではないでし
ょうか。そしてこのことは、北陸の一企業の
ことだけではなく、日本社会全体に言えるよ
うに思います。
日本は自由で平和な国だとよく聞きます。
しかし、ほんとうにそうでしょうか。私たち
日本人は、他人の喜びや悲しみを共有し、個
人の人格を尊重するといったことを知らない
民族なのでしょうか。また、見せかけだけの
自由しか享楽できず、生活を楽しみ心の余裕
を持つといった文化を持っていないのでしょ
うか。どうして、人々が手を取り合い助け合
っていく優しい心を、お互いに持てないので
しょうか。そして、これほど簡単なことが、
どうしてできないのでしょうか。
自由のないところに自由をつらぬくことは、
至難のわざです。しかし、あきらめや開き直り
だけでは、どうにもならないと思います。私は
いまだに、どんな生き方をすればよいのかわか
りません。
小社発行・『北陸の燈』第3号より