「あいこでしょ」の願い
【2020年8月9日配信】
石川県小松市立稚松小学校 辰巳 国雄
学級文集とか、学級通信とか、学級機関紙
といわれるものを発行することを、教師の仕
事の軸の一つにして実践を積み重ねている人
がずい分多いと思う。
私は、学級通信(学級文集・学級機関紙も
含めて)を発行してから、もう三十年近くに
なる。あるときは季刊であったり、月間であ
ったり、週刊であったり、日刊であったり、
その形はさまざまである。その一年、一年で
形も異なり、内容も変わってきている。大ざ
っぱな言い方をすれば次のようになるだろう。
子どもたちの生活のなかみや、思いや考え
を、本音のところで知りたい。それは、話す
ということででもできるかも知れないが、数
十人の学級の子どもたち全員の本音を知るこ
とはむずかしい。話すことの不得手な子でも
書くことによって本音を語ってくれるだろう。
また書くことによって、さらに、自分の生活
や、思いや考えを、見つめ直すことになり、
印刷されたものを通して、学級のみんなの共
通の認識を得られるだろう。共通の認識を持
った学級集団(子どもたち)は、それをステ
ップに、学級集団の文化を創り上げていく力
にするだろう。
これが、私の教育の大きな柱だった。こう
して始めた学級通信発行の仕事は、子どもた
ちの全面発達を願う私の教育実践のそのとき
そのときの証しともなるものになった。学級
通信が発行できなくなるということは、私と
子どもたちとの歩みが止まることである。た
だ子どもたちの作文や詩を書いていくだけで
はなく、教師としての自分と子どもたちとの
かかわりや、私の思想をも反映させた学級の
歩みを学級通信の中に定着させていくことだ
った。それは、一時間一時間の授業を最高に
充実させるというきびしい仕事に支えられて
のみ続けられる仕事ということであった。日
刊の学級通信は、こんな一つの証しであると
思った。
今年の学級機関紙「あいこでしょ」は、不
定期刊行だが、平均すれば、週二~三回(一
号六ページ平均)になる。
子どもたちの書く作文や詩、学級集団の歩
みや問題点を出しながら、親・子ども・教師
が共に考え合い、学び合い、子どもたち一人
一人を個性的に、うんと大切に、本音を出し
合って育てていきたいという願いの「あいこ
でしょ」にしたい。
学級機関紙「あいこでしょ」から
稚松小学校三年一組
いもをたべた話
山本 雅也
ぼくがテレビを見ていたら、ばあちゃんの
わらい声がかいだんからしてきた。ばあちゃ
んは二かいにきてもまだわらっていた。そし
て、ぼくが、ばあちゃんの手の方を見た。そ
したら、ばあちゃんは、いもをもっていた。
そして、
「それどうしてん。」
とばあちゃんにきいた。そしたらばあちゃん
は、
「まあちゃんのうんこみたいや。」
といったので、ぼくは、
「そういえばそうやな。」
といってわらった。いもをたべたら自分のう
んこをたべたきもちになった。
たのしみにしているおばあさん
後藤 祐美
いつも、ばあちゃんは「あいこでしょ」を
よんでいる。
「たつみ先生は、こどもがすきで、ほんとに
ねっしんな先生やわ。それと、たつみ先生は、
いつもこれをもたせる。ちょっとよんで。」
と「あいこでしょ」をだした。おかあさんも
よんで、
「ほんとうにいいことかいてあるわ。」
といいました。
こないだ「あいこでしょ」がなかった日、
ばあちゃんは、ざんねんそうなかおをして、
「ざんねんや、たのしみにしとったのに。」
といいました。
「あいこでしょ」にわたしのがでたと、ばあ
ちゃんにいったら、うれしそうなかおをして、
「よかったね。」といってくれた。とてもう
れしかった。
わたしは、三年生になったから、もっとじ
ょうずになりたいと思った。とうぶん、「あ
いこでしょ」は、みんなの人気ものでしょう。
うちのおかあさん
北村 美抄
うちのおかあさんは、やさしいです。もし
も95てんとかをとっても、
「あら、おしかったね。」
でおわりです。
わたしがねていると、ようふくをうえにの
せてくれます。あそぶ人がいなかったらあそ
んでくれます。ねこにひっかかれたら、おく
すりをぬってくれます。
いつもわたしがかえるまでまってくれて、
いっしょにスーパーへいきます。
「このおかしかって。」
といったら、かってくれる日もあるし、かっ
てくれない日もあります。
わたしは、うちのおかあさんがすきです。
かぞくぜんいんすきです。みんなながいきし
てほしい。
おかあさんが来た
山崎 勝義
きのうは、さんかん日でした。おかあさん
は、しごとでいそがしいので、さいごのほう
で来ましたが、すぐかえりました。ぼくは、
ざんねんでした。でも、しごとがいそがしい
のだから、しょうがない。でも、来てくれた
だけでいい。ぼくはそう思った。
ぼくは、うちにかえったら、みせの中はお
きゃくさんで、まんいんだった。ぼくは、い
つもなら、「ただいまー。」と大ごえでいう
のに、きょうは、まんいんなので、ちいさい
こえで「ただいま。」といった。
やさしいけどおこるおかあさん
柿田 真弓
わたしのおかあさんは、やさしいけどおこ
ります。でも、かんじテストで100点をと
ったら、なにかをくれます。うれしいです。
おかあさんはねむたくなっても、子ども、
あかちゃんのせわをしています。いそがしい
とおもう。おかあさんは、やすむひまもなく、
ずーっとおしごとです。
わたしもてつだってあげようと思うけど、
おかあさんがろうじんになってもながいきし
てほしい。
いそがしいおかあさん
前田 美和
わたしのおかあさんは、つとめをしていて、
五時~六時にかえってきます。
それから、かえって、ようふくをきがえて
から、しょくじのしたくをしたり、おまいり
をしたり、いろいろします。
その中で、一ばんいそがしいのは、おちゃ
わんをふいたり、あげものをしたりするとき
です。
わたしはそのとき、
「いそがしそうだな。」
と思って手つだいをするときもあります。おば
あちゃんも、おかあさんがかえってくるまでし
たくをまい日しています。
朝は、おかあさんがつとめに行くまで、朝食
や、お米をはかって入れものに入れます。
わたしは、これから、おかあさんとかをあま
り心ぱいをさせないで、あんしんして、ごはん
やおかずを作ってもらいたいと思いました。
おかあさんの仕事
安井 秀樹
あかあさんは、朝五時におき、けしょうをし
て、朝のごはんのよういをして、おとうさんの
おべんとうを作ります。おとうさんがでかけて
から、せんたくをして、げんかんや、お店のか
いだんをそうじしています。
おかあさんは美よういんをしています。朝の
八時半から、夜六時半までの仕事です。おきゃ
くさんのかみをきれいにする仕事です。
今日、朝からパーマをかける人がいました。
かみをあらって、それからカットをして、ロッ
トでまき、ドライヤーでかわかして、その人が
きにいるようにしてあげます。
おわったら、ゴムとロットをあらって、かみ
をかっこの中にかわかします。
たくさんたまったら、ぼくもひろげてあげま
す。一日に、カットやパーマやヘアダイといろ
いろな仕事をしています。たまに男の人もパー
マをかけにきています。男の人は、小さいロッ
トでまくので、女の人より一時間おそくなりま
す。みんなだいじなおきゃくさんなので、てい
ねいにしてあげて、よろこばれるようにがんば
っています。お店のひまをみつけて、夜のごは
んのよういをしています。
一日中いそがしくしごとをして、夜、ごはん
をたべてからマーケットに行き、あすのおかず
をかって来ます。
ぼくは、いっしょうけんめいはたらいている
おかあさんを見て、おてつだいをたまにしてあ
げようと思っていますが、お天気がいいので、
外にばかり遊びに行くのでできません。ぼくは、
がんばりやのおかあさんだと思います。ぼくも
勉強をがんばらなくてはと思っています。
ぼくにできそうもない仕事だった
村田 篤哉
お母さんの仕事は、九谷焼の絵つけです。ぼ
くの家からちょっとはなれた近藤さんという家
ではたらいています。
ぼくらが学校にいってからそうじをしたりし
て、九時ごろからいきます。おひるには帰って
きます。その時おやつを用意しといてくれます。
そして、またひるから五時ごろまで仕事をして
います。
ぼくが学校から帰ると、お母さんの仕事場へ
いく時があります。見てるとかんたんそうに見
えますが、とてもたいへんだそうです。ざぶと
ん二まいにすわり、小さいテーブルの上に九谷
のしなものをおいて、色をぬったり、ふでで絵
をかいたり、しぼりだしたりしています。
ぬる色をつくる時は、ガラス板に色のこなを
おいて、それにニカワというものをよくまぜま
す。よくまぜたら、ぬりやすくなるまでお水を
いれて、よくガラス板の上ですります。すると
きの音は、「ギー」といいます。ぼくは、その
音をきくと、さぶくなります。
しぼりだしの色を作る時は、色のこなにふの
りをまぜて、これも、とろーっとなるまで、お
水をたしながらかきまわします。
絵を書くまでに、こういうじゅんびをしなく
てはなりません。こうして、しあげたしなもの
は、よこのかまで、650度~750度の温度
で焼いて、せい品になるそうです。
お母さんは、一日じゅうすわり仕事なので、
かなりこん気がいるし、運動ぶそくになるとい
っていました。
とてもぼくにはできそうもないたいへんな仕
事だと思いました。
大工さん
磯野 好美
お父さんは大工さんです。手はゴツゴツでか
たいです。ちまめもあります。きずあともあり
ます。私は、(すごいなあ)と思います。
家をたてるとき、いろいろなどうぐをつかい
ます。とくにきかいをたくさんつかいます。木
をいっぱいはこぶので、力もちです。
あなのあいているところは、さしこむだけだ
と思ったら、ちゃんとくぎでうっていました。
休みの日は、いねかりをしたり、たまにあそ
んでくれます。お父さんは大工さんだから、あ
んまりひまがないので大変です。
家のかわらは、かわらやさんがもってきたの
をお父さんがはるのかとおもったら、かわらや
さんが、かわらをはるのでした。私は、そのは
んたいだと思っていました。
あさ七時ごろにおきて、八時ごろに仕事に行
きます。ひるは一時ごろに仕事に行きます。か
えってくるのは七時ごろです。ごはんをたべて
から、また仕事に行きます。お父さんは、いつ
も朝おきるのが一番おそいです。
これからも、けがをしないようにがんばって
ください。
夏休みが休みでないおとうさん
松本 仁美
わたしのおとうさんは、中学校の先生です。
夏休みがあるのですが、毎日のように学校へ行
ったり、クラスの人の家へかていほうもんをし
て、
「がんばって勉強しているか。」
などといって、はげましているそうです。
また、わたしのまちの子ども会のせわがかり
もしています。だからおとうさんは、
「夏休みがあっても休みでない気がする。」
といっています。そんな毎日だけどその間に海
や山や川へ遊びにつれていってくれたので、と
てもうれしかったです。
お父さんのはたらく工場へ行った
田部 知里
お父さんはセキスイじゅしにつとめています。
夜おそく行ったり、朝はやく行ったりします。
お父さんはホースをつくっています。人はあま
りいません。ほとんどきかいがやります。ホー
スをつくるげんりょうは、小麦このようなもの
で、二かいにおいてあります。そのぱんこのよ
うなものと水のようなものを二かいから入れま
す。ミキサーでまぜあわせると、色のついたお
米のようなものができます。それをあついとこ
ろでホースにします。
できたばかりのホースは、とてもあついので
水でひやします。それがながれていきます。
黒いホースをまくものが、いっぱいつんであ
ります。それをきかいにかけて、ながれてきた
ホースをきかいでまきます。
お父さんのふくそうは、はい色のふくのよこ
に入れるところがあって、そこにはさみを入れ
てあります。
黒いホースをまくものにホースをまきおわっ
たら「ピー」となります。お父さんはなったら、
はさみでホースを切ります。まいてホースを切
るのを、きかいがやるのもありました。
できたものには、とうめいのテープがはって
あって、たくさんつんでありました。いろんな
色がありました。つんであるんではなくて、長
ほそいはこに入れてあって、リフトではこんで
あるのもありました。
はこに黒いものが入れてあって、上にきかい
があった。そのきかいは、手のようで黒いもの
を持って、そのはこにおとしていました。わた
しは、それで何をするのかわかりませんでした。
ぼくの家は植木屋
竹林 忠邦
ぼくの家は植木屋です。おじいちゃんとおと
うさんと、おしごとさんが四人ほどです。
天気の良い日は、外で木にのぼり、さんぱつ
をしたり、にわをつくったり、しょうどくをし
たりします。
雨の日は、できないので休みです。その日が、
ぼくの家の日よう日です。夏などは、あつくて、
まっ黒になります。
ひるになると帰ってきて、あせびっしょりで、
シャツとパンツをかえてから、ごはんをたべま
す。ぼくは、たいへんだなあと思います。
冬になると、なわをたくさんつかって、えだ
がおれないように、雪つりをします。とてもき
れいです。ときどき、てつだいにいきますが、
とてもむずかしいです。でも、おもしろいです。
竹のさきになわをつけるのがむずかしいけど、
つないだなわを木のえだにむすびます。ぼくは、
それがとくいです。
にわをつくるときは、おじいちゃんがかんが
えて、おとうさんとそうだんしてつくります。
木や石をたくさんいれて、すてきなにわをつく
ります。そんなおじいちゃんとおとうさんをえ
らいと思います。
うちのみせはとこやです
小村 康史
うちのみせはとこやです。まい日、じいちゃ
んが六時三十分におきて、商売のよういをして
います。おかあさんは、せんたくと二かいのそ
うじをしてから、おみせにでます。おじいちゃ
んとおとうさんは、新聞を見ています。
あさからパーマをする人もいます。パーマは、
三時間ぐらい時間がかかります。ときどき、ひ
まなとき、おとうさんがキャッチボールをして
くれます。
おきゃくさんがくると、おきゃくさんが、
「こんにちは。」
といったら、おとうさんと、おかあさんと、お
じいちゃんが、
「いらっしゃいませ。」
と大きい声でいいます。
休みの日は、第三日曜と月曜日です。おじい
ちゃんは、ゲートボールにいきます。おとうさ
んは、けいばとか、つりとか、ソフトボールの
しあいにいきます。
ときどき大そうじをします。そのとき、ワッ
クスをぬったり、ゆかをふいたりします。いつ
も大へんな三人。これからも、そのちょうしで
がんばってください。
おねえちゃんありがとう
出口 美鈴
わたしのおねえちゃんは、へんなことを言っ
てきらいだ。
でも、本当はやさしい。
今日なんか、えんぴつを二本くれた。おねえ
ちゃんが、
「このえんぴつ、いらんしあげる。」
と言ったので、心の中で、ありがとうと思った。
いっぺんに二本ももらって、うんがついている
と思った。ふつうの日ならあたらないのに、今
日だけもらえた。おねえちゃん、ありがとう。
おにいちゃんとかえった
岡久 笑
きょう、おにいちゃんとかえりました。おに
いちゃんは、おなかがいたかったから、ほけん
しつへいったそうです。かえるときもいたかっ
たとおもいました。おにいちゃんは、いつもは
やくあるくけど、きょうはおなかがいたいから、
のんびりあるきました。わたしものんびりいき
ました。かけはしがわをいったとき、きらいな
人が二人いました。おにいちゃんもきらいだか
ら、おにいちゃんは、はやくあるきました。も
ういえのちかくのときものんびりしてあるいて
いました。
おみやげもらった
鍛治 瑞希
おかあさんのおにいちゃんのおにいちゃんの
こどもは、中学の三年一くみです。
そのあんちゃんは、しゅうがくりょこうとい
うのにいきました。
おみやげをもらいました。おとうさんとおか
あさんは、おちゃわんでした。おとうとは、で
っかいすずでした。いもうととわたしは、かが
みでした。
おかあさんのおにいちゃんは、小学二年生の
なつやすみぐらいにしにました。だから、おか
あさんのおにいちゃんのおにいちゃんは、たば
ことさいふです。あんちゃんのおとうとと、じ
いちゃんとばあちゃんは、わかりません。
あんちゃんは、人のことばっかりかんがえて
いたから、じぶんのをかってくるのをわすれま
した。
おみやげもらってよかった。
しんせきのみつるくん
鹿島 幸代
わたしは、しんせきの家へ行って、犬のベル
とあそびました。そのベルはとしよりです。だ
から、あまりあそんでくれません。
しんせきのとこには、わたしとおばあちゃん
とおとうとと行きました。しんせきの家には、
あかちゃんがいます。その子のなまえは、みつ
るくんです。まだ八かげつしかたっていません。
その子ともあそびました。
「トゲウオ」を知っているかい
佐垣 大輔
このあいだ、中田くんとザリガニとりにいき
ました。中田くんが、川の中を見ていたので、
「どうしてん。」
といいました。そうしたら中田くんが、
「トゲウオがいる。」
といったので、いってみたら、ほんとうにトゲ
ウオでした。
トゲウオというのは、せなかに一本とげがつ
いていて、おなかに一本とげがついているので、
トゲウオです。
トゲウオの中に、「イトウ」と「トリヨ」と
「トミヨ」の三しゅるいいます。
とちゅうで、ザリガニが二ひきとれました。
用水ろの中をのぞくと、ぼんやりした「トゲウ
オ」がいました。あみを水の中に入れました。
一かいですくえました。
家へ帰って水そうにいれました。そうしたら
元気よくおよぎました。とてもうれしそうでし
た。「きっと水がきれいになったからうれしい
んだ。」と思いました。「なるべくながいきし
てほしい。」と思いました。
名前がおもしろい
伴場 洋平
せんせいの名前は、たつみくにおっていう名
前だ。はんたいからよむと、おにくみつただか
らおもしろい。とくに、おにくがおもしろい。
たつみもおもしろい。かえてみると、たたみに
なる。もっとかえてみると、たたりになる。く
におをかえてみると、にくいおにになる。
小社発行・『北陸の燈』第2号より
「現代の声」講座第3回目の提言者
テーマ:学級文集と子どもたち